山梨クィーンビーズ

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勝負を楽しむ貪欲さを取り戻したクィーンビーズ:WOT制しアイシン戦勝利

山梨QB 103 – アイシン 97

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今季ヘッドコーチに就任した石川幸子ヘッドコーチに、イヤーブックの制作にあたりインタビューを行った際、「このチームには勝負を楽しむ貪欲さがある」と石川ヘッドコーチはチームの特徴を話した。 「それはどういうことなのか」と尋ねると、「たとえ練習試合でも、出ている選手だけではなくベンチも含め、全員がチームを盛り上げて接戦を楽しんでいる。これは今までバスケットに関わってきた中で、見たことのない経験。ここは、このチームの強みだから、リーグ戦でも活かしていきたい」と語っていた。

しかし、いま一歩のところ、試合の要所で詰めきれずに勝ち星から見放されていく中で、エンドラインからレンズ越しに見る選手の表情は、その「勝負を楽しむ貪欲さ」がシーズンが深まるにつれて薄れていったように感じていた。 それは、前節の新潟とのゲーム2でも変わらず、プレーオフ進出がかかった試合であることの重圧からか ゲーム1で先勝したにも関わらず、重い雰囲気を引きずっての敗戦となってしまった。

プレーオフ進出という目標を失ったクィーンビーズは、週明けの練習再開に向けて、それぞれの思いを曝け出し、今季の集大成、残り4試合に向けて再スタートを切った。

そして迎えた、今日からのアイシン戦 会場の東祥アリーナ安城は約1,000人の観客で埋まる完全アウェー。青いTシャツをまとったアイシンブースターの歓声と人数は少ないものの負けじとクィーンビーズの背中を押す、クィーンビーズファン・ブースターの声援が交錯する熱気に満ちた中で14時にトスアップ。 立ち上がり、アイシンのディフェンスの圧力に押されて良い形でシュートが打てないクィーンビーズ。 悪い時に発生する、外でボールは回り遠目のシュートに偏る傾向からのタフショットをアイシンが得点に繋げる。しかし、クィーンビーズは渡邉愛加のスリーポイント2本、そしてアンモールのポストプレーで試合を繋ぎ、16-24と8点ビハインドで1Pを終了。

2P、ゾーンディフェンスでアイシンの得点を抑えにかかるクィーンビーズは残り9分3秒、片山菜々の得点で20-26と6点差に迫るが、残り5分には23-37と14点と水を開けられる。その後3分43秒には25-41と16点差、これ以上の点差は致命的なりかねない場面が訪れた。 これまで、追い詰められた場面で連続したミスを発生し、試合流れを何度となく決定づけられてきたクィーンビーズだが、今日は違う。 コート内はもちろん、ベンチからもプレーに対する意志の疎通、そして鼓舞する声が飛び続ける。 その声に導かれるように選手の表情も和らぎ始め、清水咲来の連続シュートとエンドワンで31-41と10点差に点差を縮め、その後も一進一退37-46と後半戦に希望を抱かせる点差のまま前半を終了。

迎えた3P、立ち上がりからインサイドのアンモールにボールを集めると、 アンモールがそのボールを外に裁き、片山・宮坂桃菜・渡邉のスリーで1点差に迫る。 対するアイシンは、飯島早紀・吉田亜沙美と経験豊富な選手をコートに送り、引き離しにかかる。そして点差はまた開き53-60で3Pを終了。

4P、試合後に井上桃子が「アンが今日は、すごく良いパスを何本も飛ばしてくて、それを得点に繋げられた。その結果、相手も警戒して中にスペースができ、ドライブも行けるようになった」と話したように、強みでもあるインサイドのフィジカルの強さを活かしたプレーがジャブのように効きだし、得点の幅も増える。 継続してゾーンディフェンスでアイシンのオフェンスに対抗するクィーンビーズはリバウンド・ルーズボールと球際でも最後まで健闘。残り3分43秒で70-70と同点に追いつき、渡邊のスリーで73-70と逆転、2分47秒には75-70とリードを5点にに広げる。しかし、アイシンは酒井彩等、そしてこれまで幾度となくクィーンビーズの前に要所で立ちはだかってきた、飯島早紀のスリーで75-77と逆転を許して、残り25秒。 石川ヘッドコーチがタイムアウトを要求し、そのタイム明けの井上のシュートが決まり77-77でOTに突入。

アイシンが先行してはクィーンビーズが追いつく展開のなかでOT残り34秒、81-84とリードを許した場面で、渡邉が同点となるスリーを沈め、自身が新潟と山梨での7シーズンで積み上げてきた記念すべき通算1,000得点を達成。片山のツースローで86-84とリードするが、OT終了間際、峰晴寿音のシュートでまたも同点に戻り試合はWOTへ。

片山と飯島のスリーの撃ち合いで始まったWOTは片山の連続スリーで、クィーンビーズが92-89とリード。その後「初めてのWOTは、どんな展開になるか楽しみだった」と、この場面を振り返った宮坂の連続得点でクィーンビーズが97-91と点差を広げて試合を進る。その後、ファウルによるフリースローで得点を重ねたクィーンビーズが103-97で50分間の激闘に終止符を打った。

前節の敗戦で目標を失いかけたクィーンビーズは今季5勝目。残り3戦全勝に向けて弾みとなる貴重な1勝をものにした。

試合が進むにつれて「勝負を楽しむ貪欲さ」が徐々に増幅していったように受け取れる今日の試合。 ベンチからの止むことのない声がけに反応して、コート内の選手の表情からは悲壮感は消え、試合を楽しんでいるようにも見受けられた。 苦しんだ末に、取り戻しつつある自分たちの姿 明日の第二戦、連勝など容易く許すはずもないアイシンに対し、自分たちの姿で試合を楽しむことができるか。 残り3戦、全勝に向けてチャレンジするクィーンビーズからは、まだまだ目が離せない。

ヘッドコーチ・選手の談話

石川幸子ヘッドコーチ

本日も応援ありがとうございました。

延長戦に入った時、「この間の気持ち、忘れていないよね?」と再確認したが、選手たちは最後まで良い顔をして試合をしていた。

開始直後はミスが目立ち、苦しい時間帯もあったが、そこを追いついて同点に持ち込むことができた。しかし、また離されてしまう展開でも、選手たちは諦めずに戦い続け、勝利を掴み取ることができた。これは選手たちの頑張りのおかげ。

相手のローテーションに苦しんだ場面もあったが、しっかりアジャストすることができた。勝負所のOT開始直後、片山選手の2本のスリーポイントは相手に大きなダメージを与えたと思う。50分間という長い時間、戦い抜くことができたのは良かったが、マンツーマンディフェンスがうまく機能せず、切り替えたゾーンディフェンスで、ちょっとしたコミュニケーションミスで失点する場面もあった。

他にも明日に向けて修正したい点もあるのでしっかり対策したい。 5勝目、ようやく去年と同じ勝ち星になった。明日の試合も厳しい戦いになると思われるが、再延長まで戦い、疲れている選手もいると思うう。全員でもう1勝できるように頑張りたい。プレーオフ進出は逃したが、残りの試合で上位に位置するチームに勝利を積み重ね、良い形でシーズンを終えたい。

キャプテン 濱西七海

苦しい時間帯にシュートを決めてくれる選手がいたこと、ディフェンス面であと一歩、誰かいればって思うとこや、ルーズボールとかリバウンドで、あと1歩足りなかったところを、今日はコートに立つ選手が頑張ってカバーしてくれた。
そしてチーム全員が勝ちに行こうという気持ちを持って、同じ方向を向いて最後まで戦えたことが、勝利につながったと思う。 ディフェンスは、相手のセットオフェンスに対してスカウティングをしたところが少し守れたのと、コアさんの機動力と判断力で6人目みたいな動きしくれたことで、ゾーンディフェンスが機能した。そしてベンチから積極的に声を出してディフェンスを盛り上げた。

明日は、今日守れた通り、攻めれた通りには絶対行かないと思う。 自分たちはディフェンスは良くてもオフェンスが攻めきれなかった。外が当たってたから良かったけど、試合の中で相手に対してアジャストできてないと思うので、そこをもう1回、オフェンス面でどこが攻めれるのかを確認したい。ディフェンスでも簡単にやられてしまった部分があったので、そういうのを含めてもう1回。

明日は向こうも全然違うチームになると思うし、自分たちもまた今日は今日で しっかいいところを明日に繋げて、改善できるとこをもっともっと改善して、完璧な形で明日は明日の成長を見せれるようにしたい。

渡邊 愛加

先週は悔しい負け方をしたが、残り4試合しかない。悔しがっても仕方ない。試合ができるなら、全力で楽しもうと切り替えた。まずは1試合1試合、全力で戦うことだけ考えた。

自分がマッチアップする選手が相手の核でチームの得点源。中心になってくるから、そこをどれだけ抑えられるかを考えて試合に入った。

みんなで声を掛け合い、常に目を見て、チーム一丸となって戦えた。最後までチームが一つになって戦えたことが勝利につながったと思う。

いつも2試合目は相手の対応に苦戦しているので、明日はチャレンジャー精神で戦って、もう1勝して笑顔で終わらせたい。

通算1,000得点は、気が付いたらここまで来ていたような感じ。私は個人技で点を取れるタイプではない。前のチームからだけど、みんながたくさんパスをくれたおかげでシュートを打てた。感謝しかない。

宮坂桃菜

個人的なこと言うと、プレーオフ云々もあるが、新潟戦の敗戦はめっちゃ悔しかった。100パーセント、やりきらないで負けたということが、悔しかった。新潟戦で悔しい思いをしたからこそ、最後競った時に同じ思いをしたくないという気持ちがプレーに出たと思う。今日はチームで戦えた試合で、勝ち切れたのが嬉しい。

今日競り勝ったことは、自分たちの自信になったし、残り3試合全勝目指していけるなという自信にもなった。

ダブルオーバータイムは初めてで、疲れているとかはあまり感じていなくて、やるしかないと思っていた。ダブルオーバータイムって、どんな感じなのかちょっと楽しみだったが、自分としてはそれが良い結果に繋がったかもしれない。

今日の試合は、みんなが喋っていた。1人の選手が喋るのではなく、みんなが思っていること言うし、みんながちゃんと考えているからこそ言葉に出ると思う。これができたらやっぱりベスト。だから、どうしたらその雰囲気に持ってけるかというのを自分たちで追求していけば、もっと良いチームになると思う。

明日は、そう簡単ではないと感じている。ダブルオーバータイムで、ましてプレーオフに行けなかった私たちに負けたっていうことで、絶対に気持ちを入れてくると思う。それでもやっぱり、先週の負けをもう1回思い出してやらないと。勝負にならないと思う。

流れを持ってかれないように戦いたい。

井上 桃子

プレーオフに出れないことが決まって、失うものは何もない「やるしかない」っていう気持ちがチーム全員で持てたのが良かったし、それがもう50分間、気持ちを切らさずに続いたのが良かったと思う。

新潟戦後は、気持ちをうまく切り替えられなかったが、「あと2週間しかこのチームで練習できない」って考えると、なんかすごい寂しくなってきて、最後の4試合は勝って、笑って終わりたいなっていう気持ちが強くなった。

明日は、1試合だけ勝って「まぐれだったかもしれない」と言われないように、今日も明日も両方勝ち切って、「山梨の力はこうだ」っていうのを示したい。プレイオフは行けないけれど、いつも応援してくださってる方に恩返しの意味を込めて、皆さんの力になれるような試合をしたい。明日も勝ちたい。

片山 菜々

OTの連続スリーは、来たら打とうと決めていた。 みんなのいろんな悔しい思いを聞いて臨んだ今日だった。コートに立っている以上はもう絶対に下を向かないと決めていた。声掛けも絶対プラスのことを言おうと自分の中で決めてた。自分がそう発言することで、自分の心も結構そう思えてきた。残りの試合でも継続していきたい。 今までは疲労や追いついても、ちょっと足りない部分があった。今日はリバウンドを全員で取り切るところや、ルーズボールを全力で追いかけるところなど、相手より少しだけ良かったのかなと思う。

明日は、アイシンも修正してくると思う。自分たちは連携を取りながら相手のキーマンを抑えたい。

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