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壁の先に見えた景色
- 2026年03月23日
- admin
クィーンビーズ、昇格は来春へ
クィーンビーズ 62 - 76 アイシン
アイシンに星を戻された昨日のGame2。チームの柱であるディフェンスは相手を55得点に抑え、敗れはしたものの「やれる」という確かな感触を掴んだまま迎えたGame3。
掴みかけたプレミア昇格の切符。その前に立ちはだかったのは、この日31得点を記録した渡嘉敷来夢を中心としたアイシンの壁であった。
壁のその先が見えてきた残り10分。
しかしその壁は、視線を遮るように、さらに高く、厚く、クィーンビーズの前に立ちはだかった。
クィーンビーズの昇格への挑戦は、あと一歩届かず、ここで終焉を迎えた。
この日のスタートはダラーメ マレム ドイ、池田沙紀、三好青花、井上桃子、出原菜月。昨日までとは2人を入れ替えた布陣で臨んだ。

ここ2試合は出遅れる展開が続いていたが、この日は池田の得点で先制し、落ち着いた入りを見せる。スタートに抜擢された三好も「楽しんでやるだけ」と語るように、過度な緊張はなく、自分たちのバスケットを体現する空気がコートにあった。
しかし中盤以降、試合の主導権は徐々にアイシンへと傾いていく。渡嘉敷がゴール下で存在感を示し始めると、ファウル、あるいはリング下での失点を許す展開となる。
それでも終了間際、片山菜々の3Pが決まり、流れを完全には渡さない。4点ビハインドながら、昨日は失速のスタートとなった第1クォーターを「戦えている」という感触とともに、11-15で終えた。
第2クォーター、クィーンビーズは一気に試合の流れを引き寄せる。

坂田侑紀奈、上長美菜の3Pで点差を詰め、インサイドでは出原菜月、マレムが連続得点。リバウンドでも健闘し、試合のテンポはクィーンビーズ主導で動き出す。
この時間帯について、井上桃子は「ボールを動かし、コート全体を使って攻めていた時間帯」と振り返り、池田も「チームとしてやり切った時間はあった」と語る。個ではなくチームで戦えた時間であり、完成度が最も発揮された局面であった。
クィーンビーズは33-32と1点リードで前半を終える。「自分たちのバスケットは通用する」という手応えを掴み、後半へとつないだ。
前半のスタッツは
2Pシュート成功率 46.2%-68.8%
3Pシュート成功率 35.7%-20%
フリースロー成功率 66.7%-66.7%
リバウンド 16-13
スコアリーダーはマレム7点、渡嘉敷15点。クィーンビーズはリバウンドでこの日も健闘し、スリーポイントで15点を記録した。
第3クォーター、試合は完全に拮抗し、両チームのプライドがぶつかり合う展開となる。

アイシンが得点すればクィーンビーズが取り返す。その応酬の中で、三好の連続得点、出原の3P、マレムのインサイドと、内外が連動した攻撃が機能し始める。
クィーンビーズベンチ裏の観客席は、シュートが決まるたびにブースターが立ち上がり、歓声を上げる。応援のボリュームも一段と増していく。その姿は、まるでホームゲームのような一体感を生んでいた。
その声援に背中を押され、残り4分37秒、38-46。この試合最大の8点リードを奪う。三好が「流れが来ていた」と語ったこの時間帯、フィールドゴール成功率60%という高効率を記録し、試合を掌握しかけていた。

しかし同時に、ほころびも生まれ始める。渡嘉敷がこのクォーターだけで12得点。井上が指摘した「勝負どころでの個の力」が、徐々に流れを押し戻していく。
それでも1点リードを守り、52-51で第4クォーターへ。あと一歩で昇格を掴める位置に踏みとどまっていた。
第4クォーター、勝負は残り10分、すべてがここで反転する。
開始直後に逆転を許すと、そこから約2分間、無得点。この時間帯、試合の主導権は完全にアイシンへと移る。
井上、池田が口を揃えて語ったのは、「オフェンスが個の時間になってしまった」という事実である。それまで機能していた「つないで、崩して、仕留める」というチームの形が崩れ、単発の攻撃が増えていく。
さらに残り5分45秒、早い段階でファウルが積み上がる。守備の選択肢が制限される中、その隙を突くように坂本が爆発。2P、3P、フリースローを含め、このクォーターだけで13得点を挙げ、一気に流れを決定づけた。
クィーンビーズは最後まで流れを引き戻すことができず、試合はそのまま終局を迎えた。
62-76。
3日間にわたるクィーンビーズのプレミアへの挑戦が終わった。

後半のスタッツは
2Pシュート成功率 39.1%-50%
3Pシュート成功率 20%-37.5%
フリースロー成功率 83.3%-83.3%
リバウンド 18-20
後半、アイシンのディフェンス時に何度も聞こえた「スリーケア」の声が象徴するように、クィーンビーズは前半15点と好調だったスリーポイントが2本6点に抑え込まれた。
試合通してのスコアーリーダーはクィーンビーズはマレム15点、アイシンは渡嘉敷が31点と昨日を上回りその存在感を示した。
例年よりも早い桜の開花とともに始まったWリーグ入れ替え戦。
開花間近に迫った「昇格」という花は、来春へと持ち越されることとなった。
試合後のミックスゾーンでキャプテン井上桃子は、「これまでの試合でもそうですが、自分たちはあと一歩のところまでは行けるものの、勝ち切るところで失速してしまう場面がありました。今回もそこが出てしまったと思います」と振り返った。
確かに、この展開はこれまで何度も目にしてきた。
だが、それは昨シーズンまでの話である。
今シーズンのクィーンビーズは違った。
試合のターニングポイントで崩れず、我慢し、勝機を掴む。
その積み重ねが、リーグ2位という結果につながった。
同じような現象が起きたとしても、その意味は異なる。
対戦相手はアイシン。
一つ上のステージへ上がるために、越えなければならない壁であった。
試合後、池田はその先を見据える。
「優勝、昇格を目指すとなると、まだまだやるべきことはたくさんあります。挙げればきりがないですが、それだけ伸びしろがあるとも思っています」
井上はこうも語る。
「チームとしてやるべきことは全部出せたのではないかと思います。本当に全員がやり切った試合だったと思いますし、みんなのことを誇りに思います」

その言葉が示す通り、この入れ替え戦で見せたクィーンビーズの戦いは、結果だけでは測れない価値を持っていた。
山梨県内でも大きな話題となり、その奮闘は多くの県民に元気と勇気を届けた。

花を咲かせる、その一年先へ。
この3連戦で得た経験を、どう力に変えていくか。
次の開花の季節を、楽しみに待ちたい。
その時は、いつも温かい声援を送り続けてくれるファン・ブースターの皆さんとともに、開花の瞬間を見上げたい。
1年間、応援ありがとうございました。






ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
試合の終盤は、疲労もあったと思いますし、少し慌てている部分もあったと思います。
その中で、最後まで同じメンバーを使い続けましたが、ほんの1分でもうまく合わせてあげられていれば、もう少し流れを引き戻せたのではないかと考えています。もう少し私がコントロールしなければいけなかったと受け止めています。
ドライブ自体はできていましたが、最後のところでこぼれてしまう場面も多く、勝負どころを決め切る力の差が出たと感じました。
その部分でやはり、渡嘉敷選手の存在は大きかったです。
本当にすごい選手だと思いますし、これまでの経験がこういう大事な試合でしっかり出てくるというのは、さすがだと感じました。
ただ、この入れ替え戦を勝ち抜いて上に行くためには、どのチームが相手であっても、ああいった存在やチーム力を乗り越えていかなければなりません。そういう意味では、選手たちは非常に良い経験を積めたと思います。
この経験を次にどう生かすか。そこが一番大事です。
チームとしては、フィジカル、スキル、そしてチームプレー、すべてにおいてレベルアップが必要です。
特に、勝負どころで何をしなければならないのか、その判断と遂行力。試合の流れをどう自分たちのものにするかという部分は、練習だけでは身につかない領域でもあります。
今回感じたこの感覚を、選手一人ひとりがしっかり覚えておくことが重要です。そして、それを忘れずに努力し続けることが何より大切です。
今回の3日間については、本当に楽しかったです。
選手たちが見せてくれたものは大きかったですし、まだまだそれぞれの良さを引き出せる部分はあります。ただ、大事な場面でそれを出し切れていないという課題もはっきり見えました。
この3日間の応援には本当に感謝しています。
振り返ると、会場が黄色に染まっていて驚きました。東京での試合にもかかわらず、ホームゲームのような雰囲気を作っていただき、大きな力をもらいました。
あの雰囲気の中で試合ができたことは、次につながる大きな財産です。
勝てなかったことは本当に悔しいですし、応援してくださった方々に結果で応えられなかったことは申し訳なく思っています。
3日間、応援本当にありがとうございました。
キャプテン井上桃子
試合を通しては、第1クォーターから第4クォーターまで、チームとしてやるべきことは全部出せたのではないかと思っています。
本当に全員がやり切った試合だったと思いますし、みんなのことを誇りに思います。
ただ、やはり勝負どころで、相手は渡嘉敷選手を中心にパワフルにリングアタックしてきて、そこに対して自分たちが少し遅れてしまったり、ファウルになってしまったり、リング下でやられてしまったりと、本当にちょっとした差が出てしまったと感じています。
できていた時間帯もありましたが、最後はそこを突かれてしまった印象です。
第4クォーターについては、大きく何かが変わったわけではないですが、なかなか得点が取れない時間帯が続いてしまいました。
最後に個人で打開しようとする時間が少しあったかなと感じています。
チームでボールを動かして、コート全体を使って崩していけた時は、いいプレーができていたので、そこを継続できなかったことが一つの要因だったと思います。
シーズンを振り返ると、リーグ戦は負けからのスタートでしたが、紆余曲折を経ながらチームとして成長してきたシーズンだったと感じています。
チームプレーも徐々に成熟していきましたし、それと同時に個人の努力も積み重ねてきました。
リーグ2位という結果を掴み、入れ替え戦が決まってからの1か月半も、全員がアイシンを見据えて、個人でも努力を続け、チームとしても練習を積み重ねてきました。
その意味で、この3日間は本当にその集大成だったと思っています。
ただ、これまでの試合でもそうですが、自分たちはあと一歩のところまでは行けるものの、勝ち切るところで失速してしまう場面がありました。
得点が欲しい場面で伸び悩んでしまうという課題は、今回も出てしまったと思います。
そういう時こそ、個人で打開するのではなく、チームで打開していくことが自分たちのスタイルです。
時間をかけて、人を動かして、全員で崩して得点していく。
それが山梨クィーンビーズのバスケットなので、そこを貫き通さなければいけないと感じました。
また、第4クォーターではファウルが早い段階で溜まってしまい、クォーターを通してうまくファウルを使いながら守ることができなかったことも、痛かったと感じています。
池田沙紀
試合を振り返ると、第3クォーターまではいい流れで、自分たちらしい戦いができていたと思います。
ただ、第4クォーターで少し崩れてしまった部分がありました。
その中で、自分のミスでいい流れを止めてしまった場面もありましたし、40分間やり切る力が足りなかったと受け止めています。
全体としても、少し個人でのプレーになってしまった部分があったと思います。
そこは自分がコントロールできなかった反省点ですし、ディフェンスで踏ん張ってこそのオフェンスだと考えているので、そのディフェンスで踏ん張り切れなかった部分も含めて、相手の方が上だったと感じました。
この3日間については、悔しい気持ちが一番大きいですが、本当に楽しかったです。
たくさんの方に応援していただいて、ここまで来ることができましたし、リーグ2位という結果も含めて、すべてが皆さんのおかげだです。
チームメイトやスタッフも含めて、本当にたくさんの人に支えられてここまで来ることができました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
シーズンを通しては、できるようになったことも増えましたし、試合を重ねる中でチームとして成長してきたと感じる場面も多くありました。
苦しい試合を勝ち切る経験や、勝つことの楽しさもたくさん実感できたシーズンでした。
ただ、優勝を目指すとなると、まだまだやるべきことは多くあります。
挙げればきりがないですが、それだけ伸びしろがあるとも思っています。
三好青花
率直な気持ちは、本当に悔しいの一言です。
試合の途中で自分たちの流れが来ていましたし、そこを掴みきれなかったことがすごく悔しいです。内容だけを見れば、自分たちにも勝つチャンスはあった試合でした。
今日はスタートで出ることになりましたが、緊張や何かをしなければいけないというよりは、最後は楽しんでやろうという気持ちでした。
変に気負うことなく、自分らしくプレーはできたと思います。
ディフェンスでは外国籍選手に対していい形で守れて、チームに流れを持ってくることができた手応えはありました。
その流れをオフェンスにつなげたかったですが、今日はスリーポイントがなかなか入らない展開でした。
それでも、自分の役割であるディフェンスから流れを作ることは、出場している時間の中でしっかり体現できました。
オフェンスについては、ずっと「アタックしろ」と言われていたので、そこは意識してプレーしていました。
第3クォーターも含めて、攻め続ける気持ちは持ち続けてプレーできたと思います。
ただ、試合の中で相手の対応に対して、自分たちの打開が遅れてしまった部分はありました。
ノースリーを徹底される中で、スイッチやチェンジに対し、どこでチャンスを作るかという共通理解が少し遅れてしまいました。
そこをもっと早く共有して遂行できていれば、もう少し点差は縮められたはずです。
また、流れの変化に対して早い段階で気づき、コントロールできていれば、展開も変わっていたと思います。
そのあたりは今後の課題であり、今回の試合から学ばなければいけない部分です。
個人としては、これまでで一番長いプレータイムの中で、非常に貴重な経験をさせてもらいました。
渡嘉敷選手とマッチアップする中で、今後のキャリアにとっても大きな学びを得られた試合でした。
この経験を無駄にせず、自分の成長につなげていきたいです。
シーズンを通しては、チームとしての強みであるチーム力を発揮できたことは大きかったです。
そこはクィーンビーズの良さであり、今後も伸ばしていくべき部分です。
来シーズンも目標は変わらず優勝です。
一戦一戦を大切に戦いながら、このチームの強みをしっかり結果につなげていきたいと思います。
個人としても、今回の経験を通して学んだことをしっかりアウトプットし、プレーや姿勢でチームに還元していきたいです。
若い選手にも背中で見せられる存在になれるよう、これからも成長していきたいです。
