山梨クィーンビーズ

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試合報告

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代々木で証明した「チーム力」

――クィーンビーズ、昇格へあと一つ

山梨から代々木第二体育館へ向かう道中、都内の各所で車窓越しに咲き始めた桜の花が目に入った。
春の訪れを感じさせるその光景とは裏腹に、この日の東京の最高気温は11℃。冷たい雨が降り続く、厳しいコンディションの一日となった。

その雨の中、14時の開場とともに、クィーンビーズカラーの黄色を纏ったファン・ブースターが次々と客席を埋めていく。
やがて会場は、冷たい空気をかき消すような熱気と歓声に包まれた。

その声援に背中を押されるように、未来へつなぐ運命の一戦が、いま幕を開けた。

試合は静かな立ち上がりとなった。だが、先手を取ったのはアイシンである。野口のシュート、高橋の3ポイントが決まり、開始早々に5-0。高さと個の力を前面に押し出す形で主導権を握られる。
クィーンビーズはマレム・ドイのシュートで初得点を挙げるものの、序盤はタフショットが続き、ボールが回らない。ターンオーバーも重なり、流れを掴めない時間が続く。それでも崩れなかった。池田沙紀、渡邊愛加を中心にリバウンドで食らいつき、セカンドチャンスを与えないことで試合を壊させない。残り4分49秒でチームファウルが3つに達するなど苦しい状況の中でも踏みとどまり、9-13。最小限のビハインドで第1クォーターを終えた。

第2クォーター、クィーンビーズはリバウンドからの速攻でリズムを掴み始める。
この時間帯、コートにエネルギーをもたらしたのは出原菜月である。ゴール下で体を張り、オフェンスリバウンドをもぎ取ると、そのまま自ら得点へと繋げる。高さで劣る中でもポゼッションを渡さず、チームに流れを引き寄せた。三好青花の得点を皮切りに追い上げ、13-16と迫ると、アイシンがたまらずタイムアウト。この時、会場は「レッツゴークィーンビーズ!」の大声援に包まれ、空気が一変する。

タイムアウト明け、アイシンはゾーンディフェンスで応じ、再び13-20と突き放す。しかし、ここからがこの試合の分岐点であった。クィーンビーズは慌てない。タイムアウトで修正を施すと、井上桃子、三好青花の連続3ポイントで一気に19-20。さらに高田栞里のシュートで21-20と試合をひっくり返す。

流れを掴みかけたクィーンビーズであったが、アイシンのゾーンディフェンスの前に一時得点が停滞し、26-26の同点に追いつかれる。それでも下を向かない。坂田侑紀奈がゾーンの隙を突くミドルシュートを沈め、再び前に出ると、上長美菜が3ポイントを突き刺す。さらにアンスポーツマンライクファウルで得たフリースローも確実に決め、渡邊愛加の得点で締める。35-26。前半終了時、リバウンドは22-19、3ポイント成功率は41.7%。高さで劣るはずのチームが、数字の上でも試合を支配していた。

後半に入っても、その勢いは衰えない。池田沙紀がゲームをコントロールし、テンポを握る。自ら得点を重ねながらチームを動かし、44-30と点差を広げる。残り6分4秒でアイシンがタイムアウトを取るも、流れは変わらない。三好の3ポイント、井上のインサイドでの得点と、内外を使い分けながら着実に加点し、55-37。18点のリードを持って最終クォーターへ突入する。

第4クォーター、アイシンは渡嘉敷を中心に高さで押し返しにかかる。クィーンビーズにとっては耐える時間帯となった。しかし、ここで崩れないのがこの日のチームであった。ブースターの大きなディフェンスコールを背に、粘り強く守り続けると、池田が連続スティールから流れを引き戻す。そのまま自ら得点し、61-40。再び主導権を握り返した。

さらに上長が2本の3ポイントを沈め、64-42と試合を決定づける。終盤にはダフェ ハディ、石川明日香も得点を重ね、最後まで集中力を切らさなかったクィーンビーズが76-50で快勝した。

上長がゲームハイの17得点(3ポイント3/4)、リバウンド7を記録。池田も9得点、7リバウンド、8アシスト、3スティールとオールラウンドな活躍を見せた。
だが、この勝利の本質は個の数字ではない。リバウンドを取り切り、守って走り、40分間やり続けたこと。その積み重ねこそが、この21点差を生み出したのである。

さらに、この試合で見逃せないのがベテラン陣の存在である。若手が躍動する中で、チームを牽引したのは上長であった。勝負どころでの3ポイント、そしてリバウンド。結果で流れを引き寄せたその存在感は、この試合を象徴するものであった。

また、アイシンのゾーンディフェンスに苦しみ、得点が停滞しかけた時間帯には、坂田が冷静に空いたスペースを突き、確実に得点を重ねた。あの時間帯での落ち着きが、再び流れを引き寄せる大きな要因となった。

そして第3クォーター、ルーズボールに飛び込み額を切りながらもプレーを続けた渡邊。その姿勢は、チーム全体の戦う覚悟を体現するものであった。

若手のエネルギーとベテランの経験。その両輪が噛み合ったからこそ、この勝利がある。

しかし、この勝利は通過点に過ぎない。相手は必ず強度を上げてくる。その中で、今日以上のプレッシャーをかけ続けられるか。40分間、やり続けられるか。

すべては明日の一戦に懸かっている。

ヘッドコーチ・選手の談話

石川幸子ヘッドコーチ

今日は、ディフェンスではプレッシャーをかけ続け、チームルールを徹底できたことが大きかったと思います。オフェンスでは停滞した時間帯もありましたが、しっかり切り替えながら戦い続けられたことが、この結果につながりました。

第1クォーターは9点と、なかなか自分たちのオフェンスのリズムを作ることができませんでしたが、失点を低く抑えることができたことが、第2クォーター以降につながったと思っています。ベンチから出ていく選手たちがやるべきことを徹底してくれましたし、思い切りよくシュートを決めてくれたことで、チームに流れを持ってきてくれました。ルーズボールも含めて、全員が勝ちたいという気持ちを前面に出してくれた試合だったと思います。

第3クォーターでは少し詰められる時間帯がありましたが、相手のディフェンスがハードだった中で、シュートセレクションの部分で少し良くない選択があり、単発で打ってしまうなどオフェンスの流れが悪くなったことが要因だと思います。また、渡嘉敷選手のところで得点を取られた部分もあったので、そこはファウルをせずに守り切ることが、明日も大事になってくると思います。

試合を通しては、リードしている時間帯にしっかり時間を使いながら、自分たちのオフェンスを組み立てることを意識させていましたが、ガード陣が落ち着いてコントロールしてくれました。

前半を良い形で終えることができましたが、後半に向けては自分自身も不安はあり、「0-0の気持ちでいこう」と伝えました。相手は必ずギアを上げてくるので、それを上回るプレーをしようと話しました。ベンチも非常に盛り上がっていて、頼もしく感じました。

まず1勝できたことは良かったですが、今日はラッキーな部分もあったと思います。このチャンスを自分たちで掴み取り、明日も自分たちから仕掛け続けていきたいと思います。

キャプテン井上桃子

初戦が大事だということはチーム全員で共有していたので、まずその初戦を勝ち切れたこと、そして目標としていた70点オーバー、65点以内に抑えるという部分を遂行できたことは、チームとして非常に良かったと思います。

今日はビッグマンに対するディフェンスの部分で、5人全員が常に意識しながら体を張って守れたことが大きかったですし、その結果としてターンオーバーを誘発し、そこからブレイクに繋げることができました。それが自分たちのやりたいバスケットなので、それを体現できたことが勝利につながったと思います。

試合の入りでは相手の高さを少し気にしてしまい、良くないシュートもありましたが、無理に勝負するのではなく、自分たちの機動力を生かしたディフェンスからリズムを作り、ボールを動かしていいシュートを打ち切る形に修正できたことが良かったですし、それを決め切れたことが今日の結果につながったと思います。

試合の中では停滞する時間帯もありましたが、そういう時間帯が来ることは想定していましたし、いかに我慢できるかが大事だと思っていました。オフェンスでは停滞した場面もありましたが、ディフェンスで踏ん張り、得点が動かない時間帯を作れたことはチームとして良かったと思います。明日も同じような展開は必ずあると思うので、全員でディフェンスを徹底して、相手のビッグマンや得点力のある選手を体を張って抑えることが重要になると思います。

今日は会場の声援が本当に大きく、ホームゲームのような雰囲気の中で戦うことができましたし、その声援が自分たちの力になりました。この1勝をファンの皆さんと一緒に喜べたことは嬉しいですが、まだ昇格が決まったわけではないので、明日勝ち切って、チーム全員で、そして会場の皆さんと一緒に喜びたいと思います。

明日は相手も今日とは全く違う強度でギアを上げてくると思います。その強度に飲まれてしまうようでは、たとえプレミアに上がっても勝ち続けることはできないと思います。相手の強度を上回る強度を40分間出し続けて、苦しい時間帯も我慢しながらチーム全員で戦えば、必ず勝機はあると思っていますし、今日のような試合ができると思います。

上長美菜

今日の勝因としては、ディフェンスの部分で相手へのアジャストがしっかりできたことと、チームで守ることができた点だと思います。特にセンター陣が体を張って相手のビッグマンに対してプレッシャーをかけてくれましたし、リバウンドも全員で取り切ることができました。

また、個人で打開するのではなく、ボールと人が動くオフェンス、そしてディフェンス、リバウンドといった、これまでチームで積み上げてきたことを40分間やり続けられたことが、今日の結果につながったと思います。

試合としては、出だしからいい形で入ることができたと思います。この1ヶ月ちょっとで練習してきたことを、しっかり試合の中で出すことができましたし、相手はプレミアのチームで個々の能力は高いですが、そこに対してチーム力で戦えたことがこの結果につながったと思います。

立ち上がりは少し重い部分もありましたが、メンバーが変わりながら徐々にリズムを作ることができましたし、これまでもそういった時間帯はありましたが、セカンドユニットの選手たちがカバーしてくれてきました。今年のチームの選手層の強さというのは感じていますし、そこに対しての不安はありませんでした。

この入れ替え戦に向けては、自分自身としても特別な気持ちで臨んでいますし、絶対に勝ちたいという思いはありますが、その気持ちが強く出過ぎてしまうとチーム力が崩れてしまうと思っているので、そこは意識しながらプレーしていました。チームメイトがいいパスを出してくれたので、それをしっかり決め切ることができたと思います。

今シーズンは、この2試合、3試合が最後になるので、これまでやってきたことを出しながら、それ以上に楽しむことを意識して戦いました。

明日は相手も今日の試合を踏まえて必ずアジャストしてきて、出だしからタフなゲームになると思います。スタートだけでなくセカンドユニットも含めて、一人ひとりがどう試合を運ぶかを考えながらプレーすることが大事になると思いますし、これまでやってきたことをしっかり出して、チーム力で戦っていきたいです。

池田沙紀

緊張もありましたが、それ以上にワクワクしていましたし、実際に代々木のコートに立ってすごく楽しかったです。明日もまた楽しめるように、しっかり準備していきたいと思います。

自分の役割としてはゲームをコントロールすることだと思っていますし、チームとしての目標にも関わる部分なので、今日できたことは良かったと思います。ただ、細かい部分では課題もあるので、しっかり振り返って明日に繋げていきたいです。

第1クォーターはなかなかシュートが入らない時間帯もありましたが、相手の高さもある中で、個人で戦うのではなく、5人で守るという意識を全員が持ってプレーできたことが良かったと思います。

今日の試合は、チーム全員で準備してきたことを出せたと思いますし、シーズンを通して積み上げてきたものを、最後まで全員で戦い切れたことが良かったと思います。

21点差で勝てたことは自信にはなりますが、今日は今日、明日は明日だと思っています。相手も必ず強い気持ちで向かってくると思うので、自分たちはチャレンジャーとして、その強度に負けないように立ち向かっていきたいと思います。

三好青花 

この1ヶ月半でやってきたことを出すだけだとチームでも話していましたし、試合前のミーティングでもその確認がありました。それを一人ひとりがコートで体現できたからこそ、この点差で勝ち切ることができたと思いますし、しっかり準備してきて良かったと感じています。

ディフェンスからオフェンスにつながる流れはこれまでもあったので、流れがいい時はオフェンスも良くなるという感覚はありましたし、調子が上がってきているのも自分の中で感じていました。その中で変に気負うことなく、自分の役割をしっかり果たせたことが良かったと思います。

大学時代にも似たような状況はありましたが、今回のように実力のある選手に対して体を張って守れたことで、自分のディフェンスの強みを改めて実感できましたし、その手応えがオフェンスにもいい影響を与えたと思います。

試合の雰囲気としては、みんながチャレンジャーとして気負わずに、自分たちのやるべきことを出すこと、そして楽しむことを意識できていたと思います。会場も黄色に染まっていて、ホームゲームのような声援を感じることができて、その後押しもあって、自分たちの強みである走ること、守ることをしっかり体現できたと思います。

明日は本当に大事な試合になると思いますし、相手もギアを上げてくると思います。その中でこの流れを切らさずに、一人ひとりが目標に向かってプレーを体現できれば勝ち切れると思いますし、クィーンビーズの強みである選手層の厚さを発揮して、チーム全員で戦って勝って山梨に帰りたいと思います。

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