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未来への通過点–乗り越えるべき壁が、ここにある。
- 2025年11月23日
- admin
明日を切り拓くために、いま向き合う2連敗。
山梨クィーンビーズ 56-67 日立ハイテク クーガーズ
(2025年11月23日/小瀬スポーツ公園体育館)
高さに翻弄されたGAME1。
そこからの立て直しが注目されたGAME2である。
高さに対抗するための最善策は、クィーンビーズが本来持つ“5人で得点を取りに行くバスケット”である。
人とボールが連動し、コート全体を広く使い、守備の綻びを突きながらゴールへ至る——。
今季はそこに、マレム、ダフェという高さの武器が加わり、攻撃の幅が広がったことがチーム好調の要因となっている。
前日苦戦した高さへの順応と、連動するオフェンスが噛み合い、クィーンビーズは理想的なスタートを切った。

第1クォーター、試合は片山菜々のスリーポイントで幕を開け、続いてドイが2本のフィニッシュをねじ込み、QBが序盤の主導権を握った。
この時間帯、5人が連動して動き、ボールも人も途切れず動く、クィーンビーズ本来の攻撃が体現されていた。

ルーズボール、スティールからの速攻も冴え、最大6点のリード。
リバウンドでも優勢に立ち、日立ハイテクのフィールドゴール成功率を18.2%に抑え込んだ。
17–11 内容でも数字でも上回る理想的な10分であった。
第2クォーター、日立ハイテクの11番ファールがゴール下で存在感を示し、リバウンドからのセカンドチャンスで点差を詰められた。
一時は逆転される場面もあったが、池田沙紀の果敢なアタック、三好青花のスリー、ハディのインサイドで再び流れを取り戻した。

しかし前半終了間際、残り1秒の“守り切るべき1本”を抑えきれず、34–29の5点差で折り返したことは、後半への不安材料となった。
第3クォーター、ここで試合が大きく動く。
ドイの得点や池田のスリーで主導権をつなぎ止めたが、日立ハイテクがディフェンスの圧を一段引き上げると、
クィーンビーズのオフェンスは連動性を欠き、急速に“単発化”していった。

試合後、石川ヘッドコーチと井上桃子キャプテンが語ったように、
「相手の圧力に押され、5人で得点機会をつくる自分たちのオフェンスが成り立たなくなった」
という現象が、この3Qで顕著に表れたのである。
攻撃が停滞した結果、シュートの精度は落ち、
こぼれ球を拾われ、走られ、失点へ。最も避けたい流れが連鎖した。
39–39の同点から、わずか数分で44–50。
試合の流れは完全に日立ハイテクへと傾いた。

第4クォーター、崩れた形を戻せないまま時間だけが過ぎ、日立ハイテクがリードを広げる展開となった。
最終スコアは56–67。
前半に見せた自分たちのバスケットを40分間貫けなかったこと、
そして崩れた攻撃を立て直せなかったことが、今日の敗戦の決定的要因となった試合である。
試合前日、キャプテン井上桃子はこう語っていた。
「身長・能力ともに個々を比べたら劣る部分はある。しかし、5人で守り、5人で攻めるクィーンビーズのバスケットが遂行できれば、勝利への糸口は掴める」。
しかし今季、開幕第2戦以降白星を積み重ねてきたクィーンビーズが、このGAME2では自らのプレイスタイルを見失ってしまった。
リーグ戦は次節のSMBCとの2連戦で1巡目が終了する。
混戦のフューチャーリーグで一歩抜け出すためにも、ここで立ち止まっている暇はない。
渡邊愛加は試合後のインタビューで悔しさを隠さず、こう語った。
「プレミア昇格を目指す今の立ち位置で“自分たちのバスケットができない”ようでは、たとえ昇格しても1勝もできない恐れがあります。
流れが良い時は進めばいい。でも、きつい時、雰囲気が悪い時、相手にやられてダメージを受けた時こそ、もっとチームで戦わなければいけない——それを強く感じた試合でした」。

坂田侑紀奈も、試合後のエンディングマイクで力強く語った。
「この連戦は悔しい結果になってしまいました。
チームとしても、今まさに“乗り越えなければいけない時”だと感じています。
リーグはまだ続きます。しっかり修正して、自分たちらしいバスケットを後半戦で必ず取り戻します」。

2連敗で暫定順位は落とした。しかし、チームが見据える目標は何一つ揺らいでいない。
石川幸子ヘッドコーチは開幕前から語っていた。
「リーグ戦を通して日々成長すること。結果はその先についてくる」と。
この2連戦の敗戦は、決して停滞でも後退でもない。
次のステップへと進むための“一呼吸”、階段の踊り場のようなものだろう。
この一呼吸をどう次へつなげるのか。
踊り場の先に続く階段は、すぐそこに見えている。
ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
二日間、ご声援ありがとうございました。
前半はオフェンスの修正が良くできており、スクリーンプレーの判断も良かったですし、ディフェンスでも相手の良いオフェンスに対してヘルプローテーションでミスを誘えた場面もありました。そこは評価できるポイントだと感じています。
ただ、後半はオフェンスが単発になり、プレッシャーを受けてボールがつながらず、時間がなくなって苦しいシュートを打つ場面が続いてしまいました。自分たちが準備してきたオフェンスを遂行できず、相手のディフェンスに崩されてしまったことが原因だと思います。
ガード陣への強いプレッシャーからボールを戻せず、ビッグマンが持ったまま停滞してしまうシーンも多く、パスが回らなかったことで流れをつくれませんでした。
本来、苦しい時間帯こそチームが一つにならなければいけませんが、今日はそこができませんでした。
タフショットになってしまったあとは、すぐに戻って守らなければならないのですが、相手に簡単に走られてしまい、失点につながりました。
日立ハイテクに勝つためには、プレッシャーがかかる中でも自分たちのオフェンスを遂行できる強さが必要です。個々の良し悪しではなく、「チームとして戦う」ことが欠かせません。困っている仲間を助け合い、チームで攻め、チームで守る。その一体感が欠けてしまうと、今日のように自分たちで崩れてしまいます。
リーグ戦は続きます。劣勢になった時にどう立て直し、どう向き合っていくか。
今後の大きな課題になると思います。
キャプテン井上桃子
今日は前半の入りから、自分たちのペースで試合を組み立てることができて、ディフェンスも機能していたと思います。リング下をしっかり攻めたり、ディフェンスを寄せて外からスリーポイントを打ったりと、昨日できなかったオフェンスを展開できたことは良かったです。前半の途中で相手に流れが行きかけた場面もありましたが、そこでディフェンスから速い展開に戻すことができ、昨日の反省をしっかりつなげられた前半だったと思います。
ただ、後半に入ってからは相手が一気にギアを上げてきました。日立ハイテクさんは1Qと3Qで強度を一気に高めてくる、という話は事前に共有していましたが、前半で作った点差を後半の最初に振り出しに戻されてしまい、そこから一気に相手のペースになってしまいました。相手が切り替えてペースを握りにくる中で、もう一度自分たちの流れに戻すことができなかったのは、チームとしての弱さだと感じています。
後半、逆転されていく中では、パスミスから簡単にレイアップに持っていかれたり、ガード陣にペイントエリアまで攻め込まれて合わせのパスを通されたりと、安易な失点が多かったです。ローテーションの精度も良くなってきてはいましたが、最後までやり切れず、やられすぎた印象があります。
オフェンス面に関しては、前半は全員で良い流れをつくれていましたが、後半は「1人で攻める」形が増えてしまいました。私たちは“チームで攻めてチームで守る”チームなので、1人になると相手の高さやスピードにはどうしても勝てません。そこでオフェンスが噛み合わず、タフショットになり、リバウンドを取られて速攻を出されるという悪循環が起きてしまいました。今日は特に、オフェンスの共通理解が足りなかったと感じています。
今回の2連敗は、絶対に忘れてはいけない悔しさです。この気持ちは心に刻んだまま、次はSMBCさんを倒すためにどう準備するかが大事だと思います。オフェンスの整理や共通理解がまだ足りていない部分があるので、練習でしっかり立て直していきたいです。ホームで試合ができるので、今回の2試合でファンの皆さんに申し訳ない気持ちもありますし、その分しっかり恩返しをしたいと思います。
また2巡目で日立ハイテクさんと戦う機会があります。その時は絶対にリベンジしたいです。勝つためには、チームで攻めてチームで守るということを見失わないこと。そして、相手のビッグマンに対しての守備やリバウンドの徹底、合わせへの対応など、5人全員で守り切る姿勢が必要だと感じています。前半にできていた流れを40分間継続すること、そして悪い流れになった時にいかに早く断ち切るか。そこを次へ向けてしっかり改善していきたいです。
坂田侑紀奈
プレミアに上がるためには、日立ハイテクに勝つことが絶対条件だと思っていたので、この2連敗は本当に悔しいです。ただ、チームが強くなるためには大事な二日間だったとも感じています。
前半をリードして折り返せたのに、後半に得点が伸びなかったことは反省点です。日立ハイテクさんは“1Qと3Qの出だしで点を取ってくるチーム”と言われていて、昨日より今日のほうがその部分に対応しきれませんでした。ハーフタイムには「機能している部分を継続しよう」という話をしていたのに、3Qで21点を取られてしまったのは悔やまれます。
オフェンスに関しては、レイアップに行こうとするとブロックが待っていて、途中でジャンプシュートに切り替えたり、打つタイミングをずらしたりと、もっと駆け引きが必要だと感じています。まだ改善すべき点が多いです。
後半、リードされて思うようにいかない時間帯は、自分たちの遂行するバスケットが最後までできず、単発の攻撃になってしまいました。ボールが動いている時は上手くいっていたので、苦しい時間帯こそ“チームバスケット”を続けることが大事だと感じました。
次のSMBC戦は絶対に落とせない試合ですし、その後にはアランマーレ秋田戦が控えています。バイウィーク前にしっかり4勝して、チームとしてもう一度波に乗りたいです。
個人的には2試合連続で無得点が続いていましたが、今日は迷わず打ち切るという気持ちでプレーしました。チームのためにシュートでリズムを出せるよう、また準備していきます。
渡邊愛加
2試合を通して“あと一歩”という場面は確かにありましたが、勝ち切れなかったことがすべてだと思います。私たちの強みである「全員で守って全員で攻める」という部分を、今日は出し切れませんでした。ここが一番大きな敗因だと感じています。
これまでの対戦相手には、私たちの高さや運動量で打開できる場面も多かったのですが、日立ハイテクのような強いチームになると、そう簡単にはいきません。
“いつもできていたこと”が通用しなかった時に、どうチームで踏ん張るか。そこがまだまだ不足していると強く感じました。
良い時間帯があった一方で、相手に勢いを持っていかれた時にチームの雰囲気が悪くなったり、苦しい状況でまとまり切れなかったり。
今日の試合は、“苦しい時こそ全員でやる”という基本の重要性を改めて痛感した試合でした。
日立ハイテクに関しては、2試合を通して「勝てない相手ではない」という手応えも感じています。
だからこそ、この2敗を意味のあるものにしなければいけません。
ただ悔しがるだけでなく、チームとして成長していくことが、プレミア昇格を掴むために欠かせないと思っています。
来週のSMBC戦は、チームバスケットを徹底し、良い流れを取り戻すチャンスです。
そして次にハイテクと対戦する時こそリベンジできるように、この2連敗で見えた課題をしっかり改善していきたいです。
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