山梨クィーンビーズ

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試合報告

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劣勢にも、揺るがず

自分たちの闘い方を取り戻し、その先に掴んだ勝利。

山梨クィーンビーズ 74-68 三菱電機コアラーズ
(2025年11月2日/枇杷島スポーツセンター)

ボックススコア

フューチャーリーグ第3節、山梨クィーンビーズが三菱電機コアラーズとの初戦を制した。
スコアは74-68。前節・アランマーレ秋田戦GAME2に続く連勝で、混戦のリーグにおいて価値ある白星をつかんだ。
この勝利を支えたのは、前半で築いた「ディフェンスとリバウンドの土台」、そして第3クォーターの苦境を乗り越えた“チームの精神力”であった。

前半 リバウンド支配で主導権を握る

試合は片山菜々の連続得点で幕を開けた。
三菱電機の強固なディフェンスに対しても、ダフェ ハディがインサイドで力強くねじ込み、クィーンビーズが先手を取る。
中盤、相手のミスを誘うディフェンスが奏功し、18-11で第1クォーターを終える。懸念された立ち上がりを完璧に乗り切った。

第2クォーター、坂田侑紀奈のスリーポイントがネットを揺らし、27-13。流れは完全にクィーンビーズへ傾く。
前からのディフェンスが機能し、三菱電機の攻撃を封じ込めた。
そして圧巻はリバウンド。前半だけで32対14。三菱電機にオフェンスリバウンドを一本も許さず、セカンドチャンスを完全に遮断した。

井上桃子キャプテンは「相手のオフェンスリバウンドをしっかり抑えられたことが大きかった」と語り、池田沙紀も「リバウンドで圧倒できていた」と胸を張る。
さらにチームは第1・第2クォーターともに3P成功率50%を記録し、効率よく加点。
「立ち上がりで苦しむことが多かったけれど、今日は理想的なスタートだった」と坂田が振り返るように、前半のクィーンビーズは攻守に隙がなかった。
42-26、最大16点差をつけて試合を折り返した。

崩れかけた均衡、苦境を試された後半の20

しかし、後半の空気は一変する。
三菱電機がディフェンスの圧を強め、リバウンドへの反応でも上回り始めた。
中村選手が3本のスティールを奪うなど流れを掌握。三菱はFG成功率50%、3P成功率44.4%と高精度を誇り、クィーンビーズのリードを一気に縮めていく。
一方のクィーンビーズはFG31.6%、3P28.6%と精度を落とし、オフェンスが停滞。残り3分、スコアは53-42。選手の表情にも焦りが見え始める。

石川幸子ヘッドコーチは「後半は相手にオフェンスリバウンドを取られてしまった」と分析し、井上キャプテンも「無理なシュートが増え、リズムを崩した」と振り返る。
だが、ベンチからはコートに立つ5人へ絶え間なく声が飛び、チーム一体となって戦うクィーンビーズの姿勢は崩れない。
石川ヘッドコーチのタイムアウトを機に、上長美菜・井上桃子の得点で再び呼吸を取り戻す。
それでも三菱の連続スリーで57-52。リードはわずか5点差まで詰められ、第3クォーターが終わる。

第4クォーター序盤、三菱の小菅と澤の連続得点で残り8分49秒には57-57の同点に追いつかれる。
流れを失いかけたクィーンビーズだが、前からのディフェンスで圧を強め粘り強く相手の攻撃をしのぐと、ディフェンスのリズムがリバウンド・ルーズボールにも波及する。それはオフェンスにも影響し、出原のドライブで再びリードを奪い59-57。


ここから池田沙紀の連続得点、そして渡邊愛加の勝敗をグッと引き寄せる狙い澄ましたスリーポイントで66-59。


ベンチの熱、コート上の集中力。全員の意志が一つになった瞬間だった。

その後も井上桃子、ダラーメ マレム ドイ、池田が続き、得点は70点台に。
三菱電機のオフェンスはクィーンビーズのゾーンディフェンスに停滞。


74-68でクィーンビーズが対三菱電機の初戦を白星で飾り、第1節アランマーレ秋田GAME2に続く連勝を果たした。

懸念された試合の序盤を無難に乗り切り、リング下で体を張ったプレーでリバウンドを制し、主導権を握った前半。
その一方で、前半の劣勢を跳ね返そうと出力を上げた三菱電機のディフェンスの前でリズムを崩し、タフショットを打たされ、そこから走られる。
試合の主導権が一時、相手へと傾いた後半。

上昇と下降を繰り返す試合の流れと選手の感情が揺れ動く中で、再び上昇のきっかけを掴んだのは、クィーンビーズの真骨頂である激しく当たるオールコートのディフェンス、そして4クォーターに取り戻した、果敢に飛び込むリバウンドとルーズボールへの執着心だった。

劣勢の場面で崩れず、「相手に合わせるのではなく、自分たちを信じ、自分たちのバスケットを出し切った」結果が、今日の勝利に繋がったのではないだろうか。

対三菱電機の戦績を振り返れば、2016年のリーグ復帰以降、未勝利。
その長い壁をついに乗り越えたクィーンビーズ。
明日は、どんな戦いを見せるのか――。
三菱電機が黙っているはずはない。
40分間、今日以上のエネルギーで攻め込んでくることだろう。
その圧力を怯まずに受け止め、跳ね返すことができるか。
成長の度合いを証明する、明日のGAME2も16時トスアップ。

ヘッドコーチ・選手の談話

石川幸子ヘッドコーチ

「今日は、まず勝ち切れたことが何より大きいです。途中、追いつかれる場面もありましたが、選手たちが最後までアグレッシブに戦い、プレスもよく機能してくれました。少し早い段階で手を打てたらという反省はありますが、全員で勝ちを引き寄せられた試合でした。

前半は非常に良いオフェンスができていたと思います。全員が攻める意識を持ち、リズムよくアタックできていました。ディフェンスでも相手のオフェンスを困らせる場面が多く、良い内容でした。後半は相手のオフェンスリバウンドを取られてしまいましたが、大きい選手にもしっかり体を張ってリバウンドを守ってくれたのは頼もしかったです。

3Qで少し流れが乱れたところを修正しきれなかったのは、今後の課題です。ただ、そこで崩れずに立て直せたのはチームの成長。ああいった時間帯を詰めきることが次のステップだと思っています明日は、今日出たオフェンスの課題を修正して臨みたいと思います。三菱電機さんに対してはなかなか勝てていなかったので、今日の1勝は本当に価値がある。ここからもう一段ギアを上げていきたいです。

井上桃子キャプテン

「最後までヒヤヒヤする展開でしたが、勝てて本当に良かったです。前半リードできたのは、ディフェンスで粘り、相手のオフェンスリバウンドをしっかり抑えられたことが大きかったと思います。全員でリバウンドを取りきる意識が徹底できていましたし、ハディが体を張ってくれたボールを周りが拾うなど、チームで守り切れたのが良かったです。

後半は相手がプレッシャーを強めてきて、少しリズムを崩す場面もありました。リング下の大きい選手に対して無理なシュートが増え、セレクションが乱れてしまったのは反省点です。相手の高さに対して、自分が得意なシュートへどう持ち込むかが、明日のオフェンスの鍵になると思います。

相手にスリーポイントを連続で決められる場面もありましたが、そこを立て直せたのはチームの力。リードを失っても、もう一度自分たちの流れを取り戻せたことは大きな自信になりました。どんな状況でも『ディフェンスとリバウンド』が自分たちの土台であるということを、全員で再確認できた試合でした。

明日は今日以上にタフなゲームになると思います。出だしから様子を見るのではなく、自分たちのペースに持ち込む意識で戦いたいです。ここでしっかり2連勝を決め、次につなげます。

池田沙紀

「前半は本当に自分たちのバスケットができていたと思います。リバウンドでも圧倒できていましたし、ディフェンスからいい流れを作れていました。ただ、終盤に自分のミスから相手にオープンで得点を許してしまった場面があり、そこはしっかり反省して修正したいです。

追いつかれた時間帯も、ベンチもコートも常にポジティブな声が飛び交っていて『絶対勝つ』という気持ちは全員が共有していました。ディフェンスの強度を上げることができたのはチーム全体の力です。そこが今日の勝因のひとつだと思います。

個人としてはまだ課題が多いですが、練習してきたオフェンスが形になった場面もありました。良い部分を継続しつつ、改善すべきところはしっかり修正して、明日も勝ちにこだわりたいです。

坂田侑紀奈

「勝てて本当に良かったです。前半から自分たちのリズムで試合を進めることができたのは大きかったです。ここ最近は立ち上がりで苦しむことが多かったので、今日のようにいいスタートが切れたのはチームとしても自信になります。ただ、後半で相手に一気に点を詰められる時間帯があったので、そこはしっかり修正したいです」

「我慢の時間帯でチーム全員が声をかけ合って、ベンチも含めて切り替えて戦えたことが、最後の勝ち切りにつながったと思います。ゾーンを敷いた中で、相手が外のシュートが外した時も、リバウンドからしっかり時間を使ってオフェンスをやり切れたのはチームの成長を感じました。
明日は、今日の勢いをそのまま持ち込みたいです。ただ、相手も修正して強く出てくると思うので、出だしからハッスルして、苦しい時間帯でも我慢してやり切ることが大事になると思います。もう一度チーム全員で気持ちをひとつにして臨みます。

ダフェ ハディ

「前半はとても良かったと思います。チームとして走れていたし、自分も積極的にアタックして相手にファウルを誘うことができました。後半はその勢いを少し続けきれなかったので、明日はそこをしっかり準備して、前半・後半どちらでも同じ強度でプレーできるようにしたいです。
どんな相手でも“自分たちは勝てる”という気持ちで試合に入っていたので、チームを信じてプレーできました。苦しい時間帯もありましたが、ベンチからも声をかけて、お互いに落ち着かせながら自分たちのリズムを取り戻せたのが良かったと思います。
明日も試合があります。今日の課題を修正して、もう一度チーム一丸で戦います。応援よろしくお願いします。

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