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第1クォーターの14点差
- 2026年03月21日
- admin
クィーンビーズ、届かなかった一歩。すべては最終決戦へ
クィーンビーズ 55 - 65 アイシン
入れ替え戦GAME2を迎えた代々木第二体育館。
開場時刻の13時30分を前に、両チームのファン・ブースター、そして多くのバスケットボールファンが長い列を作る。
開場、そしてトスアップへ。
会場の空気は徐々に熱を帯びていく。
昨日を上回るアイシンブースターの声量。
その声援は、選手を後押しするだけでなく、会場全体の空気を引き締めるほどの強い熱を帯びていた。
もちろん、クィーンビーズブースターもそれに呼応するように音量を上げる。
その熱に包まれる中、試合は定刻通り15時にトスアップされた。
立ち上がりから試合は大きく傾いた。
クィーンビーズは開始直後からファウルがかさみ、わずか3分でチームファウル4。リズムを作る前に主導権を明け渡した。対するアイシンは野口のフリースローで先制すると、渡嘉敷を中心にインサイドを徹底して攻め立てる。0-8のラン。さらに攻勢は止まらない。
残り6分22秒、クィーンビーズはタイムアウトで立て直しを図るも、渡嘉敷の得点で流れは止まらず、一時は0-13。ようやく上長美菜のシュートで初得点を挙げるが、シュートはリングに嫌われ続ける。
「打てているが、入らない」
そのわずかなズレが、そのまま点差となって積み重なっていく。
16-2。
この14点差が、試合全体の流れを決定づけた。
第2クォーター、クィーンビーズは反撃に転じる。

ダラーメ マレム ドイのインサイド、出原菜月の得点で16-6と詰め寄り、アイシンにタイムアウトを取らせる。さらに渡邉愛加、上長の3Pで食らいつくが、アイシンもインサイドアタックとキックアウトで応戦し、流れを渡さない。
井上桃子のフリースロー獲得などで粘りを見せるも、終了間際に野口に決められ、36-18で前半終了。

スタッツが、その差を如実に物語る。
得点:18 – 36
FG成功率:14.3% – 38.9%
2P成功率:15.8% – 50.0%
3P成功率:12.5% – 16.7%
FT成功率:85.7% – 85.7%
リバウンド:24 – 28
アシスト:4 – 10
ターンオーバー:7 – 4
スコアリーダーは井上の6得点に対し、アイシンは渡嘉敷が15得点。
決定的だったのはシュート成功率である。
“形は作れている”にもかかわらず、得点に結びつかない現実がここにあった。
後半開始直後、野口の3Pで再び点差は広がる。
それでもクィーンビーズは崩れない。渡邉の3P、出原の得点で応戦し、粘り強く食らいつく。
しかし、残り4分54秒。ターンオーバーから高橋に走られ24-43。流れを断ち切るべくタイムアウト。
ここから試合は動き出す。

三好青花の3P、ダフェ ハディのインサイド。井上、三好がフリースローを沈め、点差を詰めていく。ディフェンスで耐え、オフェンスでつなぐ。
一時は12点差まで迫るも、50-36。
完全に流れを奪い返すには至らず、最終クォーターへ。
第4クォーター開始早々、三好のドライブ、井上の得点で50-40と10点差に迫る。動き出した流れが、確かにクィーンビーズへと傾いた。
残り5分、タイムアウト明け。上長が値千金の3Pを沈め、さらにドイがインサイドで連続得点。
51-59。
クィーンビーズが8点差まで迫ると、逆転を後押しするクィーンビーズブースターと、突き放そうとするアイシンブースターの声がぶつかり合う。会場のボルテージは一段上がり、騒然とした空気に包まれた。
だが、最後に立ちはだかったのは渡嘉敷であった。ドライブで流れを断ち切り、アイシンが再び主導権を握る。
65-55、試合終了。
最終スタッツはこうだ。
得点:55 – 65
FG成功率:30.0% – 36.1%
2P成功率:38.2% – 44.7%
3P成功率:19.2% – 21.7%
FT成功率:70.0% – 80.0%
リバウンド:43 – 45
アシスト:17 – 19
ターンオーバー:14 – 11
スコアリーダーはドイ12得点、井上10得点、渡邉・上長が8得点。
対するアイシンは渡嘉敷が23得点と試合を支配した。
前半のスコアと比較すれば、後半は37-29。クィーンビーズが上回っている。
つまり、勝敗を分けたのは前半である。
第1クォーターの14点差。その重みが、最後まで消えることはなかった。

「いろんなことを経験している私と岡本が若い選手にどう伝えるか」
昨日の敗戦後、そう語ったアイシンの渡嘉敷が、インサイドで得点とリバウンドの両面で存在感を示した。ENEOSの黄金時代を支えた渡嘉敷と岡本。その経験と覚悟が、アイシンを前に進めた。
対するクィーンビーズも決して受け身ではなかった。
しかし、後がないアイシンが出だしからスロットルを上げてきたディフェンスの前に、シュートの精度を欠き、主導権を握りきれなかった。
それでも追い上げ、会場の空気を引き寄せた。
だがその流れを変えたのもまた、経験であった。
岡本がルーズボールに迷いなくダイブし、コートに体を投げ出す。その一つのプレーが、再び会場の空気を変えた。
クィーンビーズは最後まで食らいつき一桁差まで詰め寄ったが、形勢を覆すには至らず、勝負は1勝1敗。力のある相手、プレミアで戦ってきた経験の差を示された。
すべては明日の第3戦に委ねられた。
両チームのエナジーが、立ち上がりから激しくぶつかり合うことは間違いない。
その強度を上回った者が、結果を掴む。
試合後のコート。
ハドルの中心で井上桃子は「まだチャンスはあるから下を向かずにいこう」とチームメートに声をかけた。
それに力強く頷く選手たち。

石川ヘッドコーチもこう語っている。
「試合の中で圧力をかけることをやめてしまい、相手に『こんなもんか』と思われたら、そこで終わり。向かってこない相手は怖くない」
思い起こせば、フューチャーリーグ2位も、当該対戦の勝率、そして得失点差までもつれ込んで勝ち取った。リーグ戦でも追い込まれながら、そこから這い上がってきた試合がある。
今シーズンのクィーンビーズには、そうしたタフさが確かに息づいている。
プレミア昇格という開花宣言は明日に持ち越しとなった。
明日こそ、その瞬間をこの目に焼き付ける。
クィーンビーズの集大成、下剋上を。
ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
今日は第1クォーターの出だしで良いシュートは打てていたのですが、それが決まらず、自分たちのリズムに乗り切れなかったことが最後まで響いたと感じています。
ただ、最終的には10点差で、私はこの点差は接戦だと思っています。苦しい立ち上がりの中でも、最後まで1点でも詰めようという姿勢は見せてくれましたし、ディフェンスの部分ではしっかり粘れていました。
一方で、オフェンスの爆発力という点では少し足りなかったと思います。後半、特に終盤は積極的なアタックから得点につなげることができたので、その部分は明日につなげていきたいです。
ディフェンスでは、相手のプレッシャーも強く、昨日守れていたインサイドを打開されてしまいました。そこから自分たちのオフェンスにつなげられなかったところが課題です。ただ、やられたというよりは、自分たちの中で切り替えができれば改善できる部分だと感じています。
ルーズボールなど、相手の気持ちの強さも感じましたし、経験のあるチームがしっかり気持ちを上げてくることも想定していました。その中で今日は自分たちのメンタルが少し硬かったと思います。
インサイドの修正も含めて、明日はやってきたことをしっかり出し切りたいです。プレミアに行くという意識を全員で共有して、チームで戦います。
もうあと1試合です。プレミア昇格に向けて、全力で戦いたいと思います。
キャプテン井上桃子
今日は第1クォーターの出だしで、相手のディフェンスのプレッシャーが昨日とは全く違いました。自分たちとしては形を作って良いシュートまでは持っていけていたのですが、それが決まらず、逆に相手に得点されてしまい、流れを掴み切れなかったと思います。
昨日との違いとしては、相手のプレッシャーがよりフィジカルになり、ボールハンドラーの視野を狭められていた点です。ビッグマンにボールが入った後の圧力も強く、判断がワンテンポ遅れることでシュートチャンスを逃す場面がありました。相手のサイズがある分、判断の速さがそのまま得点機会に直結するので、そこは明日しっかり修正したいです。
シュートが入らない時間帯は必ずありますが、良い形は作れていたので、自信を持って打ち続けようとチームで話していました。その中で、オフェンスリバウンドに絡むことや、ディフェンスで相手の得点をいかに抑えるかという部分でもう少し我慢できていれば、試合展開は変わっていたと感じています。
第4クォーターで一度1桁点差まで詰めることができましたが、そこで相手に得点を許して再び2桁差に戻されてしまいました。あの時間帯で、もう一押しできていれば流れを引き寄せるチャンスはあったと思います。
ディフェンスでは、相手がより積極的にアタックしてきたことで1人では守り切れない場面が増えました。自分たちはサイズで劣っている分、ハードワークで上回るしかありません。足を動かして2人、3人で守る意識を徹底しなければいけない中で、今日は相手のルーズボールや気迫の部分が非常に強く感じられました。ああいったプレーが相手に勢いを与えていたと思います。複数人で守る意識と連携を、もう一度チームで整理して臨みたいです。
明日は出だしからプレッシャーをかけ続けて、自分たちのバスケットをやり切りたいです。まだチャンスは残っていますし、誰も下を向いていません。
山梨のファン・ブースターの皆さん、そして県の皆さんに良いニュースを届けられるように、明日必ずプレミア昇格を決めたいと思います。
ダラーメマレムドイ
「今日は相手が試合の入りからシュートを決めてきた中で、自分のシュートが決まらず、そこから相手の流れになってしまいました。
ディフェンスの部分でも、昨日より相手のプレッシャーが強くなっていた中で、対応しきれなかったところがあったと感じています。
明日に向けては、一度しっかり整理して、今日できなかったことを明日できるように準備したいです。特に第4クォーターではオフェンスの連携が良かったので、その形は明日も続けていきたいと思います。
ここまでチームとしてずっと自分たちは勝てると信じてやってきましたし、自分自身もその気持ちは変わっていません。今日の試合も学びとして前向きに捉えています。
明日は必ず勝てるように、全力で頑張ります。
邊愛加選手
やっぱり試合の出だしのところと、相手のルーズボールに対する姿勢が、この試合を通して一番感じた部分です。特に岡本選手のルーズボールへの飛び込み方を見て、ああいうところで負けていたら勝てないと感じました。
また、相手のインサイドの選手に対して連続でやられてしまい、リバウンドも簡単に取られてしまったことで、流れを完全に持っていかれてしまいました。自分たちも良い形は作れていましたが、シュートが入らず、相手に簡単に得点される流れを止めきれなかったのが課題です。
昨日はシュートが入らない時間帯でもディフェンスで踏ん張れていましたが、今日はそこでも簡単にやられてしまいました。そこは1人ではなく、チーム全員で守らないと、明日はもっとやられてしまうと思っています。
それでも後半に立て直して点差を詰めることができたのは良かった部分だと思います。ただ、やはり出だしの部分が一番の課題だと感じています。試合の入りをもっと集中して臨まなければいけません。
応援の雰囲気も含めて、こういう舞台でプレーできていることは本当に楽しいです。自分たちは失うものはなく、チャレンジャーとしてここまでやってきました。たくさんの方に応援していただいている中で、この舞台に立てていることは特別なことだと思います。
だからこそ、楽しみながらも全てを出し切りたいですし、あと1試合できるチャンスがあるので、最後までやり切りたいと思います。
今日の試合を見ても、相手の気迫は本当に強かったです。最後は技術だけでなく、気持ちやルーズボール、1つのボールを追いかける姿勢が勝負を分けると思っています。そこでは絶対に負けてはいけないと思います。
明日は最初からギアを上げて、ディフェンスから自分たちのバスケットをやり切りたいです。
出原菜月
今日は試合の入りの部分が、昨日との一番の違いだったと思います。昨日も立ち上がりは重たさがありましたが、それでもディフェンスで我慢できていたので、大きく崩れることはありませんでした。
ただ今日は、オフェンスがうまくいかない時間帯にディフェンスでも我慢しきれず、そこで一気に点差を広げられてしまいました。あの時間帯をどう耐えるかが、この試合のポイントだったと感じています。
明日はもうあと1試合しかないので、勝つことにしっかりフォーカスしたいです。その中で、自分たちがやってきたことをすべて出し切って、全員で戦い切りたいと思います。
オフェンスでは外のシュートが多くなっていましたが、良い形自体は作れていたので、インサイドとアウトサイドをバランスよく攻めていきたいです。そして、たとえシュートが入らなかったとしても、良いオフェンスで終わることでディフェンスにつなげていくことが大事だと思っています。
昨日のように、40分を通してやり続ければ必ずチャンスは来ると思うので、それを信じて戦い切りたいです。









