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打ち切る覚悟が流れを支配
- 2025年12月27日
- admin
――姫路で示した“昨日からの修正”
山梨クィーンビーズ 71-53 姫路イーグレッツ
(2025年12月27日/上郡町スポーツセンター)
対戦相手の姫路は、今シーズン最後のホームゲームとあって、多くのブースターが会場に集結した。
クィーンビーズブーのファン・ブースターは多勢に無勢の状況ではあったが、その声量で決して引けを取らない。昨日に続く寒波の中でも会場は熱気を帯び、対姫路Game2は定刻16時、トスアップを迎えた。
試合はまず、クィーンビーズが主導権を握る。
先制は池田沙紀のスリーポイント。さらにリバウンドからのブレイクで得点を重ね、序盤からテンポの良いオフェンスを展開する。

このクォーターのFG成功率は60%。池田が8得点を挙げるなど、打つべき場面で迷いなくシュートを放つ姿勢が際立った。
特に池田は、スライドディフェンスに対しても判断を遅らせることなくシュートを選択し、序盤からオフェンスに明確なリズムをもたらした。打ち切る判断が徹底されたことで、クィーンビーズは試合の入りから主導権を握る。
姫路は清川、若林の得点、さらにはフリースローで点差を詰めにかかるが、終盤には上長美菜が3Pシュートを沈め、14-21。クィーンビーズがリードを保って第1クォーターを終えた。
第2クォーターは姫路の1対1の強さに手を焼く場面もあったが、ここで流れを引き寄せたのが坂田侑紀奈である。
スリーポイントを2本連続で沈め、最大14点差を演出。姫路に傾きかけた流れを、一気に引き戻した。
姫路はタイムアウトを取り立て直しを図り、御子柴らの得点、フリースローで粘りを見せる。しかし池田が再び3Pシュートを沈め、引き寄せた流れは渡さない。
前半を39-26で折り返す。

リバウンドでは25-16と優位に立った一方、ファウルがかさみフリースローで失点を許す場面、イージーシュートを逃す場面もあり、「試合を決め切る」ための課題を残して前半を終えた。
後半、姫路はディフェンスの強度を一段階引き上げ、オフェンスでも積極的に仕掛けてくる。清川の連続得点、若林の3Pで点差を詰められ、またしても流れが傾きかける時間帯が訪れた。
しかし、クィーンビーズはインサイドとアウトサイドを使い分けながら、出原菜月の3P、ダラーメ マレム ドイの加点でリードを維持する。
シュートが落ちる時間帯もあったが、ディフェンスで踏ん張り、大きなランを許さなかった。
前日のGame1では、同じような局面でシュートを躊躇し、オフェンスが停滞する場面も見られた。しかしこの試合では、スライドディフェンスに対しても迷わず打ち切る判断が徹底されていた。ボールを止めず、フリーになった瞬間に打つ。その意思統一が、リードを保ちつつ落ち着いて試合を進める要因となった。
終盤、ダフェ・ハディがフリースローと2Pシュートで連続加点。最大16点差まで押し戻し、56-41で第3クォーターを終える。
まさに「我慢のクォーター」であった。
最終クォーターも、点差が簡単には離れない展開が続く。
姫路は清川を軸に食らいつき、残り6分15秒、61-45の場面でクィーンビーズはタイムアウトを要求する。
ここから試合を決めたのが高田栞里である。
タイムアウト明け、3Pシュート2本、2Pシュート1本を沈め、オフェンスを一気に加速。上長の3Pも加わり、最大22点差まで広げた。

姫路も若林が意地の得点を重ねるが、及ばず。
71-53、山梨クィーンビーズが昨日の課題修正と我慢の末に連勝を掴み取った。
今日で年内のリーグ戦スケジュールを終えたクィーンビーズは、ここまで通算13勝5敗で3位。年明けには皇后杯開催による約1か月のリーグ戦休止期間を挟み、可能性が残されたフューチャーリーグ優勝、そしてプレミアリーグ昇格への挑戦権を掴み取るための残り6試合に挑む。
年内最後の試合を終えた井上桃子は、
「去年はこの時点でもう優勝を目指せる立場ではなかったと思いますが、今年はまだ自分たちの手で優勝を掴み取れるチャンスが残っています。そこを誰も諦めていませんし、少しでも可能性がある限り、優勝を目指して1試合1試合戦っていかないといけないと思っています」
と、チームの現在地の先を見据えた。
目標達成へ向けた6試合に向け、年明けからクィーンビーズの挑戦が、再び始まる。

ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
二日間応援ありがとうございました。
もう少しテンポよく入りたかったという思いはありますが、相手も我慢強くディフェンスをしてきましたし、オフェンスでも粘り強く攻めてきた試合だったと思います。
第3クォーターあたりから相手のディフェンスがかなりアグレッシブになってきましたが、そこで慌てずに我慢できたこと、そして一気に詰められなかったことは大きかったと思います。こつこつと良いシュートを決めてくれて、一本一本積み重ねる形でリードをキープできたのは良かったです。
ここで一度しっかり休んでリセットし、年明けからまた練習が始まります。次からは本当に負けられない試合が続くので、良い準備ができるように、しっかりとした練習をしていきたいと思います。
ここまでの戦いを振り返ると、悔しい敗戦もありましたが、試合ごとに選手たちはいろいろな経験を積んで、「できたこと」「できなかったこと」を一つずつ整理しながら前に進めていると感じています。うまくいかない場面でも、声をかければしっかりとアジャストできるようになってきましたし、その点は選手たちの成長だと思います。2025年を通して、チームとして成長できていることは良いことだと感じています。
今日の試合も、絶対に負けられないというプレッシャーの中で難しい時間帯はありましたが、勝つために何が大事かということを、ベンチを含めてチーム全体で共有できていました。ベンチからも声が出ていましたし、コミュニケーションの面でも、チームとして成長していると感じます。
技術的な部分というよりも、チームとして決めたことをしっかり遂行しようとする姿勢や集中力、まとまりが結果につながった試合だったと思います。
具体的には、相手がスライドディフェンスを多く使ってきて、ボールマンがフリーになる場面がありましたが、昨日はそこで打ち切れずにオフェンスが停滞する場面もありました。今日は迷わず打ち切れたことで相手にプレッシャーをかけることができ、試合の展開もしやすくなったと思います。
1対1の部分については、相手も対応力のあるチームだったので、まだ課題はあると思います。ただ、ファウルも含めて、我慢しなければいけない時間帯にしっかりとファウルコントロールができたことは、良かった点だと思います。
井上桃子キャプテン談話
試合の入りについては、昨日は途中からディフェンスの強度が上がって相手の得点が止まり、そこから自分たちのリズムで点差を広げる展開でしたが、今日はそれを第1ピリオドの出だしからやろうという意識で入りました。ただ途中、相手のビッグに対してこちらもビッグが付いた中で、逆にミスマッチのような形になり、ジャンパーやスリーポイントを決められてしまう場面がありました。相手のビッグがスモールなタイプの時に、全員で守る意識や、マッチアップする選手の特徴をもっと考えたディフェンスが必要だと感じました。
後半も、点差を広げられそうなタイミングは何度もありましたが、その要所でスリーポイントやジャンパーを決められたり、リバウンドでつながれてしまったりしました。そういったところが、自分たちの少しの弱さであり、詰めの甘さだと思います。話せる場面でしっかり話して、そこで一気に流れを持ってこられるように、チームとしてもう一段階ギアを上げていかないといけないと感じました。
課題を挙げるとすると、やはりリバウンドの部分だと思います。ディフェンスリバウンドもオフェンスリバウンドもそうですが、相手がかなり手を出してきていた中で、ポロポロしてしまった場面がありました。あそこを取り切れていれば、ブレイクにつながったり、セカンドチャンスポイントにつながったりしたリバウンドが何本かあったと思います。
相手が強く手を出してきた中で、そこはやはり強く取り切らないといけないところだと感じました。そこは本当にチーム全員で改善していかないといけないポイントだと思います。
オフェンス面では、昨日はピックの場面でうまく攻められていなかったですが、今日は相手がスライドしてきたのに対して、スリーポイントを積極的に狙おうという話がミーティングでもありました。そこが今日はしっかり決まって、相手にとっては守りづらくなった部分もあったと思いますし、そこは自分たちがまた一つ成長できたところだと思います。
この先の試合でも、「止められたから何もできない」ではなく、すぐにアジャストして自分たちで対応し、打開策を見つけられるようにしていきたいです。今回は2試合目でアジャストできた部分もあったので、次は1試合目の段階から、もっと早く対応できるようにしたいと思います。
次は新潟戦になりますが、内容にこだわりつつも、こうしたポイントを大事にして、自分たちの勢いを一気に持ってくる試合をしていきたいと思います。
シーズン全体を振り返ると、去年はこの時点でもう優勝を目指せる立場ではなかったと思いますが、今年はまだ自分たちの手で優勝を掴み取れるチャンスが残っています。そこを誰も諦めていませんし、少しでも可能性がある限り、優勝を目指して1試合1試合戦っていかないといけないと思っています。
残り3節は本当に大事になりますし、得失点差なども含めて、ワンポゼッション、1プレーの重みを全員が意識して戦う必要があります。一つ一つを勝ち切って、最終的に優勝を掴み取れるように、まずは一度リセットして、次のホームゲームの出だしから、自分たちで流れをつかみにいく気持ちで臨みたいと思います。
坂田侑紀奈
なかなか点差が開きそうで開かない展開が続いて、我慢の時間が長い試合だったと思います。開くかなと思ったところで相手に勢いを出させてしまったり、自分たちがシュートを決められている時は良かったんですけど、ミスをしたり外してしまった時に、相手の速攻を許してしまったところは良くなかったと思います。
そういう展開は2日間とも似たところがあったと思いますが、その中でも、最後に少し点差を広げて勝ち切れたのは良かったです。要因としては、スリーポイントなど、決め切るところをしっかり決め切れたことだと思います。ここ最近は、なかなかチームとしてスリーポイントが出ていなかったので、そこは良かった点だと思います。
個人的には、昨日は相手のポイントガードからスチールしてファウルをもらえた場面があり、あそこは良かったと思います。今日は笛が少し厳しく感じるところもあったので、途中からは無理に取りに行かず、その分、第2クォーターにスリーポイントを2本連続で決められたことは良かったと思います。
ディフェンスの部分では、自分自身がプレッシャーをかけられると、チームの勢いにもつながると感じています。相手のやりたいことをやらせない、特に最初のポイントガードのところでプレッシャーをかけることは、これからももっとやっていきたい部分です。
シーズンを通して振り返ると、日立戦では勝てなかった試合もありましたが、アランマーレ戦や三菱電機戦など、しっかり勝ち切れた試合もあり、チームとして成長している実感はあります。この先も、一つ一つの試合を大事にしながら戦っていきたいと思います。












