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激しく、そして冷静に―敗戦を断ち切り、つかみ取った“価値ある一勝”
- 2025年12月07日
- admin
敗戦からの24時間で示した修正力と覚悟が、順位を左右する大一戦を勝利へ導いた。
山梨クィーンビーズ 66-52 アランマーレ
(2025年12月7日/由利本荘総合防災公園ナイスアリーナ)
前半に許したリードに追い付き、追い越し、そしてまた追いつかれ――。
オーバータイムに持ち込んだものの惜敗したゲーム1から一夜明けて迎えたゲーム2。
勝敗数、総得点差、いずれも今後の順位を左右する大事な一戦である。
雷を伴う激しい雨に見舞われた由利本荘市の朝のように、
昨日の敗戦がもたらした不安と迷いを断ち切ったクィーンビーズが、立ち上がりからアランマーレへ激しく襲いかかった。
しかしその戦いぶりは決して激しさだけではなく、コートの中では何度もハドルを組み、やるべきことの疎通を丁寧に図っていた。
激しく、そして冷静に戦い切った40分が、今季の目標と夢をつなぎ止める大きな一勝へとつながった。
試合の立ち上がりはアランマーレが連続得点で主導権を握り、クィーンビーズはシュートが決まり切らず、リバウンドでも後手に回る苦しい入りとなった。
それでもダラーメ マレム ドイがフリースローで初得点を挙げると、渡邊愛加が3ポイントを沈め 10−8と逆転し、流れを呼び込む。前日苦戦した外角の決定力が、この日は序盤からチームに勢いをもたらした。
守備では坂田侑紀奈が積極的に仕掛けてマイボールにし、続いて高田栞里がダフェ・ハディのシュートがこぼれたところを押し込んで16−8とリードを広げた。アランマーレのタイムアウトを挟んでも集中は途切れず、18−10で最初の10分間を終えた。
このクォーターでは2ポイント成功率が55.6%と高く、攻守のバランスの良さが際立った。

第2クォーターもクィーンビーズが主導権を握る。高田がルーズボールに飛び込み、ハードワークでチームに勢いをもたらす。序盤には高田、三好青花が3ポイントを沈め、一時は最大13点差まで広げた。
しかしアランマーレも反撃し、速攻を許す場面が続いて24−16と点差が縮まる。石川幸子ヘッドコーチが残り6分5秒でタイムアウト。直後に片山菜々が3ポイントを沈め、嫌な流れを断ち切る。
その後、アランマーレの佐藤、高橋に得点され29−24と迫られる展開に。クィーンビーズは残り3分52秒で2度目のタイムアウトを取り、立て直しを図った。
高さに阻まれる場面はあったものの、外に偏らずドライブを続ける姿勢が徹底され、後半につながる良い兆しを残した。
リバウンド(22−18)とターンオーバー(4−8)といった数字でも上回り、32−24と8点リードで前半を終えた。

後半はクィーンビーズのオフェンスから。アランマーレがインサイドを軸に得点を重ねてくるが、片山、マレムが応戦してリードを保った。
アランマーレが残り6分2秒でタイムアウトを取ったあと、クィーンビーズが一気にギアを上げる。坂田の3ポイント、井上桃子の得点が続き、44−30と最大14点差へ広がった。守備でも強度が落ちず、相手の反撃を受け止め続けた。
終盤にオフェンスが停滞し46−37と詰め寄られたが、残り1分38秒でタイムアウトを取り流れをリセット。
フィールドゴール成功率50%という高い効率で攻め切り、48−38と10点リードで最終クォーターへ突入した。

第4クォーターは池田沙紀、片山の連続得点でスタートし、52−38と一気に突き放す。
アランマーレはニャン・ンディクンバを中心にインサイドとフリースローで追い上げ55−44と迫るが、マレムがポストで得点を返し、主導権を渡さなかった。
終盤はアランマーレのファウルが かさんで、池田、片山がフリースローで加点し59−46とリードを維持した。
アランマーレが粘りを見せる中、渡邊が勝負を決定づける3ポイントを沈め62−47へ。
その後もリバウンドとルーズボールに粘り続け、66−52で勝利を収めた。

今日の結果、クィーンビーズ、アランマーレ、三菱電機の3チームが10勝4敗で並んだが、
当該チーム間の勝敗数、および総得点差の結果、クィーンビーズが2位、以下アランマーレ、三菱電機という暫定順位となっている。

この勝利には、数字では表せない価値がある。
では、今日の勝因はどこにあったのか。
今日の勝利を形づくった最大の要因は、40分間途切れなかった“勝利への強い気持ち”だ。
石川ヘッドコーチが「昨日の負けからよく切り替えてくれた」と語ったように、前日の敗戦後に見られた不安げな表情は、コートに立った瞬間にはもう消えていた。
昨日はリバウンドで主導権を握られ、そこから失点がかさむ悪循環に陥った。
しかし今日は、渡邊が「40分間、みんなで体を張り続けた」と振り返ったように、ディフェンスとリバウンドへの執念が試合全体のトーンを決定づけ、それは時間の経過とともに一層濃くなっていった。
また、オフェンスでは昨日、ドライブを仕掛けられなかった点も改善された。
高さに抑え込まれても攻め続ける姿勢がオフェンスの一つの軸となり、クィーンビーズは得点源が偏らず、内外バランスの良い攻撃を展開した。昨日は6名が得点したのに対し、今日は9名がスコアした。
この「崩しの多様性」がアランマーレの守備を揺さぶり続けたことは、大きな勝因となった。
そして、石川ヘッドコーチが「ベンチのメンバーがしっかりつないでくれた」と評したように、“繋ぐ力”がチーム全体を支え、試合を通して走り切るエネルギーとなった。
昨日の敗戦は確かに痛かった。しかし、それはクィーンビーズにとって“より強くなるための通過点”と言える。
渡邊は「昨日できなかったことは自分たちの弱さ。でも、それを修正して今日は全員で勝ち切れた」と語り、キャプテン井上も「7点差以上で勝たなければならない条件を全員が共有し、最初からその意識がプレーに出ていた」と振り返った。
チーム全体が、“苦しい状況でも自分たちの手で試合を動かせる”という手応えをつかんだ一戦であった。
今日の一勝は、敗戦を糧に確実に強くなれるチームであることを証明した一勝であり、これからの戦いを左右する“確かな自信”となった。
次戦は、1週間の休止を挟んで12月20日からの三菱電機戦。
ここでも順位争いに直結する重要なカードが待っている。
6週間続いた連戦で蓄積した疲労を癒やし、また一段階進化したクィーンビーズが、ホーム・小瀬スポーツ公園体育館で躍動する姿を期待したい。














ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
現地、そして配信等で二日間応援ありがとうございました。
昨日の敗戦から、よく気持ちを切り替えてくれたと思っています。午前中のミーティングでは少し暗い雰囲気もあって心配しましたが、試合に入ってからはしっかり切り替えができていました。
ベンチスタートのメンバーがしっかりと流れをつないでくれたことも大きかったです。高田や坂田がシュートを決めてくれましたし、得点につながらなかった選手もリバウンドやスクリーン、ディフェンス面で本当に頑張ってくれました。チーム全員で勝ち取った結果だと思います。
昨日はドライブに行けなかった場面が多かったのですが、今日は抑えられても攻め続ける姿勢が出ていました。自分たちの強みを出し切れていなかった部分を、今日はしっかり攻め切ってくれました。フィニッシュでこぼれる場面はありましたが、その積極性が相手の失点を抑えることにもつながり、自分たちの得点にも結びついたと感じています。
崖っぷちの状況でも粘り強く踏みとどまれるのが、今年のチームの強さでもあります。気持ちを前面に出してくれる選手の姿に、他の選手もよくついてきてくれています。
このあと1週間の休みを経て、また三菱電機戦が続きます。新加入選手も入ってきますし、ベテラン勢も戻ってくるでしょう。もう一度、自分たちの課題にしっかり向き合い、ここからさらにレベルアップできるよう2週間で強化していきたいと思います。
キャプテン井上桃子
今日はスタートのメンバーも、ベンチから出たメンバーも、全員がしっかり活躍してくれました。序盤から点差を広げる展開を作れたことで、昨日とは逆に、自分たちは心に余裕を持ちながらプレーできたと思います。
途中で追いつかれそうになる場面もありましたが、「ディフェンスとリバウンドを取り続ける」という部分を毎回、試合が止まるたびに全員で確認し合えていました。40分間を通して、その意識が本当に高かったと感じています。
昨日は相手にレイアップを許し、そのこぼれ球をビッグマンに拾われてしまう場面が多くありました。今日はそこに対して3人、4人で寄って、簡単に拾わせないように徹底しました。取られても悪いポジションで取らせたり、シュート試投数自体を減らせたことで、チーム全体で守り切れた証拠だと思います。
昨日の敗戦後、ホテルに戻ってからもみんな本当に悔しそうで、切り替えられるか少し心配でした。ただ、ミーティングをしてみると誰も下を向いておらず、「今日7点差以上で勝てば順位で上回れる」ということも全員が理解していました。勝つことはもちろんですが、その点差の意識も共有して試合に入り、その意識がプレーにも表れていたと思います。
我慢の時間帯が続いても、ディフェンスとリバウンドをやり続け、自分たちのペースに持っていけたことが今日の勝因です。
ここから1週間空くので、まずはしっかり休むことが大事だと思います。怪我を抱えている選手もいるのでしっかりケアをしてほしいですし、逆にプレータイムが短かった選手には、ここで競争してチームとしての底上げにつなげてほしいです。
三菱電機さんは新しい外国籍選手も加わっています。前回の対戦も接戦で、2勝できましたが危ない展開でした。立ち上がりから気を付けて入れば、自分たちのペースで試合ができると思います。
結局はディフェンスとリバウンドの勝負になるので、そこをやり切りたいです。
高田栞里
今日はリバウンドやルーズボールに強くこだわって、チームのために自分ができることをやろうと思っていました。
フィニッシュの場面で決め切れていないところが続いていたので、今日は決めようと意識しすぎず、自分の感覚を大事にしてバスケットをしてみようと考えてプレーしました。その結果、良い流れでシュートも打てていたと思います。ただ、まだミスの部分など改善できるところがたくさんあるので、ここからの期間でしっかりそこに備えていきたいです。
今日はチームとして「特定の点差以上で勝つ」という目標があり、それをクリアすることができました。チームにとって大きな収穫ですし、これからも気を緩めず、自分のやるべき仕事を徹底して勝利に貢献できるように頑張りたいです。
片山菜々
今日の勝利は本当に嬉しいです。スタートで出たメンバーも、途中から出たメンバーも、それぞれが自分の役割をしっかり遂行して、40分間戦い切れたことが今日のバスケットにつながったと思います。全員でつかんだ勝利でした。
個人的には、途中で「レイアップいけるよ」と言われた場面がありました。昨日はフォワード陣があまり攻め切れていなかったので、今日はしっかり自分からピックを使いにいくこと、そしてインサイドをメインに攻めていこうという話をして、プレーを組み立てました。
ディフェンス面では、まずリバウンドをしっかり取り切り、相手にセカンドチャンスを与えなかったことが一番良かったと思います。抑えられる場面もありましたが、最後まで攻め続ける姿勢を崩さずにプレーできました。
次に向けて、まずはしっかり休んで体のコンディションを整えたいです。三菱電機さんは自分たちのことをよく研究してくると思いますし、外国籍選手を中心に強気で来ると思います。そこをしっかり対策しつつ、自分自身も得点に絡んでいけるように準備したいです。
この流れを良い方向に使って、次につなげていきたいです。
渡邊愛加
昨日のような展開のあとで、今日は絶対に勝たなければいけないという気持ちが全員にありました。コートに立つ仲間と、いつも以上にコミュニケーションを取りながらの40分だったと思います。みんなが“絶対負けたくない”という強い気持ちを出していて、自然と集まって声を掛け合えました。相手に流れが傾きそうになった場面でも、全員でディフェンスの強度を上げ続けることを徹底できたのが、今日の結果につながったと思います。
試合の中で難しい局面でもボールが回ってきて、その場面で決め切れたのはチームのおかげです。昨日の敗戦は痛かったですが、内容的にも点差以上にやるべきことができなかっただけだと感じていました。今日はその弱さを修正して、全員で勝ち切れたことが良かったです。
自分たちがやるべきことをできれば、今年のチームはしっかり戦えるという自信があります。昨日はリバウンドが取れずに流れを失いましたが、今日は相手のビッグマンに簡単に取らせないという意識が徹底できていたと思います。後半になるにつれてリバウンドやルーズボールの集中力がさらに高まっていったのも、全員が40分間体を張り続けた証拠です。
次戦に向けて、試合を通して見えた修正ポイントにしっかり向き合って準備したいです。三菱電機戦へ向けて、またきっちり仕上げていきたいですし、優勝のチャンスはあると思っています。直接対決も残っていますし、チームとしてもっと成長していきたいです。
