山梨クィーンビーズ

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試合報告

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追いすがり、追いついた — それでも届かなかった一勝。明日への課題は明確に。

序盤の失速と終盤の激闘。その差分が示した“40分間の必須条件”

山梨クィーンビーズ 65-70 アランマーレ
(2025年12月5日/由利本荘総合防災公園ナイスアリーナ)

ボックススコア

勝敗数で並ぶクィーンビーズとアランマーレの3回目の対戦。
現段階で2位と3位の両チームにとって負けられない1戦は、アランマーレのホーム・由利本荘総合防災公園ナイスアリーナで行われた。スタンドの大半を埋めるオレンジ色の声援がアランマーレを後押しする一方、人数こそ少ないものの、どこの会場でも声援では負けないクィーンビーズのファン・ブースターも力強く対抗する。

そんな中、クィーンビーズの懸念が今日も頭をもたげる。
それは、新潟・日立ハイテク・SMBCとのゲーム1で繰り返された「第1クォーターの入り」で躓く展開である。特に日立ハイテク、SMBC戦では最初の10分で10点のビハインドを背負う苦しいスタートとなっていた。

そしてその懸念は、この試合でも現れてしまう。
立ち上がりからアランマーレの高確率の得点が続き、クィーンビーズはディフェンスリバウンドを奪い切れず、相手の早い展開に押される苦しい入りとなり、アランマーレが主導権を握る展開試合が進行する。クィーンビーズはダラーメ・マレム・ドイの得点で応戦するものの、最大10点のリードを許す。
前半のリバウンドはクィーンビーズ13に対してアランマーレ25と大きく後手に回り、1Qは12-22、アランマーレが流れをつかんだまま終了した。

2Q、クィーンビーズはマレムの連続得点で反撃の兆しを見せるが、リバウンドの面で苦戦し、セカンドチャンス、サードチャンスを与える時間帯が続く。アランマーレは一時12点差までリードを広げるが、クィーンビーズはタイムアウトを契機にゾーンディフェンスへ切り替え、徐々にリバウンドが改善する兆候を見せる。
その結果、後半のリバウンドはクィーンビーズ27 – アランマーレ25と盛り返し、流れを引き戻した。前半は26-34と、なんとか8点差で折り返した。

3Qの序盤は両チーム無得点で重い展開が続く。クィーンビーズはアランマーレのセカンドチャンスを止めきれず、再び12点差に広がる。タイムアウトを経て、終盤にはマレムや池田沙紀が得点を重ねて粘りを見せた。
そして第3クォーター終了間際、池田がブザービーターの2点を沈め、44-37、点差を7に詰めて最終第4クォーターへ。

4Q、クィーンビーズが追い上げる。開始直後に池田の2P、さらに井上桃子の3Pが決まり、一気に2点差まで接近。続く上長美菜の3Pも決まり逆転に成功する。リバウンドも機能し、最大5点差のリードを奪う。

しかし、ここからアランマーレも粘り、残り1分15秒、53-53と再び追いつかれると、試合は劇的な展開を迎える。
4Q残り31.3秒、アランマーレが加点し53-55と逆転。クィーンビーズはタイムアウトを要求し、明けて井上がファウルを受けツースローを得るが、2本とも落としてしまう。

リバウンド争いの中でアランマーレのニャンが押し込み、53-57と4点差。
残り5秒、井上がリバウンドから押し込んで55-57とし、さらにファウルを受けワンスローを得る。
この一投を井上は意図的に外し、落ちたボールを池田が押し込み57-57。残りわずかの攻防で追いついた。

残り3秒、アランマーレの最後の攻撃は得点ならず、そのまま4Qは終了し、試合はオーバータイムへ突入した。

オーバータイムも激しい攻防が続く。
残り31.9秒、マレムがリバウンドからねじ込み64-64、さらにファウルを受けたワンスローも沈め65-64と逆転。しかしアランマーレはタイムアウト後のセットから土田が決め65-66(残り7.7秒)と再逆転。

ターンオーバーで攻撃権を失ったクィーンビーズはファウルゲームに入る。土田が冷静にツースローを沈め65-68。
クィーンビーズはタイムアウトを取り、フロントコートから最後のオフェンスに挑む。スリーを狙う布陣のクィーンビーズは上長、マレムが放った3Pが外れ、残り0.9秒。
再びファウルゲームに入ったが届かず、最終的に65-70で試合終了となった。

クィーンビーズは1Q~3Qでリードを許す苦しい展開だったが、4Qの猛烈な追い上げで逆転し、さらに終了間際に同点へ持ち込む粘りを見せた。結果として5度の同点、4度のリードチェンジが生まれ、オーバータイムまでもつれた激闘となった。

終盤、劇的とも言える粘りを見せてオーバータイムに持ち込んだクィーンビーズだが、出場時間の長かった選手には、状況判断も含め疲労の色が見える場面もあった。「たられば」ではあるが、状況次第では最後の展開も変わっていたかもしれない。しかし、それを言っても仕方がない。やはり、開いた点差を追いかける展開は厳しい。

日立ハイテク戦、SMBC戦と同様に、第1クォーターで大幅な遅れを取った今日の試合。得点差だけでなく、ゲームの流れも似通っている。相手ディフェンスの圧力もあるが、重たいオフェンスからタフショットが続き、リバウンドを奪われては速攻を許し、陣形が整う前に得点を重ねられる。また、リバウンドからセカンド、サードチャンスを与えてしまう場面も多かった。

試合後、ヘッドコーチ・選手もこの時間帯を課題として振り返っている。

今日の試合終了時点で順位は以下のとおり。

日立ハイテク 11勝2敗
アランマーレ 10勝3敗
クィーンビーズ 9勝4敗
三菱電機    9勝4敗

混戦のフューチャーリーグにおいて、優勝争いに踏みとどまるためにも、明日は大きな意味を持つ1戦となる。今日プレイタイムが長かった選手をどうカバーしていくかも含め、明日は総力戦の40分になるだろう。


最後まで諦めない、クィーンビーズの姿は今日も表現できた。
明日は、もう一つ!
本来のアグレッシブなバスケットを40分間貫き相手を押し込む姿を、存分に見せてもらいたい。

ヘッドコーチ・選手の談話

石川幸子ヘッドコーチ

選手たちは最後まで全力を出してくれたと思うので、そこは評価したいと思います。ただ、入り方です。相手のプレッシャーに負けてしまって、自分たちのオフェンスができていなかったところは、明日しっかり変えないといけないと思います。

前半は、ファーストブレイクとセカンドチャンスで15点くらい取られていました。そこを簡単に取らせてしまったことで流れが悪くなり、リードされて追いかける展開になってしまったので、その改善は必要です。

後半はディフェンスやリバウンドがだいぶ改善できていたと思います。そこはハーフタイムで“自分たちもプレッシャーをかけられる”ということをしっかり認識し直して、出していこうと話しました。

本当に惜しい試合でした。
最後は少し疲労もあったと思います。プレーの判断のところで影響したのかなと感じます。

追い上げるにはパワーも気力も必要ですし、序盤をああいう形で入ってしまうと、結果としてこういう展開になることは見えていました。
明日勝てばまた状況は五分に戻ります。
得失点差も含めて、より“勝ち切らないといけない試合”になっているので、チーム全員でしっかり戦いたいと思います。

キャプテン・井上桃子

序盤にリバウンドやルーズボールを取られすぎました。ボックスアウトができていませんでした。そこは相手のビッグマン2人にリング下でやられたと感じています。

あそこで止められていれば、1ピリが10点差にはならなかったと思います。後半に入って、自分たちのいつものプレーが出始め、リズムが戻ったのは良かったですが、やっぱり入り方がああなると苦しい展開になるなと感じました。明日はその逆の展開が作れるように、まずディフェンスでプレッシャーをかけて、ブレイクにつなげたいです。

前半はオフェンスもうまくいかなかったですし、。セットプレーに頼りすぎず、フリーランスで攻める場面ももっとあってよかったと思いますし、インサイドも前半からもっと強調できたと思います。

しかし、今日は全部ダメだったわけではなく、良かったところもたくさんあったので、そこは頭に入れつつ、明日は序盤から自分たちのリズムで試合を展開したいです。得失点差が7点というのも頭に入れておかないといけないので、今日は苦しい展開になった分、明日は逆の展開で先頭に立てるよう頑張りたいと思います。

4Q,最後のフリースローの場面で外してしまって。でも、みんながつないでくれて延長に持っていけたのは本当に感謝しています。

ダラーメ・マレム・ドイ

前半は相手にセカンドチャンスを多く与えてしまい、離される展開になってしまいました。得点の取り方も偏っていたので、そこは改善したいところです。ただ、後半には良い場面もあったので、明日は全員で、最初からしっかりプレーしたいです。

上長美菜 

前半の入りがもうボロボロで、リバウンドを取られて、セカンドメンバーも取られて、ルーズボールも取りきれず、前半で自分たちの流れを作れませんでした。リバウンドやルーズができないから相手に攻められるし、こっちも普段やっているプッシュしたブレイクやアーリーのオフェンスのリズムが作れませんでした。

ボールも回らず苦しい中で、マレム選手がずっとポストで崩そうとして頑張ってくれていました。でもそれでは最後までもたないですし、大事な場面で必要な選手たちが崩れてしまって、チームとして戦えていなかったと思います。

出だしからボールプレッシャーも出せなかったのは課題だと思います。

後半は良いパスも出ていて、流れも良くなりました。でも、どこかで突き放すワンプレーが出せませんでした。チームとしてのプレーが少なくなり、池田選手のピックばかりに頼ってしまって、そこからもっといろんな攻め方を出すべきでした。明日は今日の課題がはっきりしているので、出だしからプレッシャーをかけること、そしてリバウンドとルーズは徹底が必要です。今日できなかった部分をしっかり振り返って、明日に向けて詰めていきたいです。明日は勝つしかない、それは皆んなわかっていること。

相手がファウルトラブルになった時に、マレム選手だけでなく、他の選手もペイントアタックをもっと増やせば、ファールをもらえる場面が増えると思います。フリースローで少し休める時間も作れて、もっと良いゲームができると思います。相手のファールの状況も見ながら駆け引きができれば、結果は変わると思います。

今日は最後、自分があの場面でやり切れなかったのは、ベテランとしてダメだと思いました。明日は絶対に勝ちます。

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