山梨クィーンビーズ

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試合報告

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試合を動かしたのは修正力――後半で示した今季の強さ

立ち上がりの苦戦を越え、ぶれない心と連動性でつかんだ勝利

山梨クィーンビーズ 76-69 新潟アルビレックスBBラビッツ
(2025年11月14日/シティホールプラザ アオーレ長岡)

ボックススコア

開幕節・アランマーレ秋田とのゲーム1の敗戦以降、連勝を続けるクィーンビーズ。アウェーで迎えた今節の新潟戦は、金曜開催のナイトゲーム。

何人かの選手が前節の姫路戦後、「ナイトゲームには慣れていないので、コンディション調整を慎重に進めたい」と話していたが、

試合後、石川幸子ヘッドコーチが「立ち上がりは体がまだ動いていなかった」と話したように、その懸念がそのまま試合の入りに表れてしまい、勝利の女神がどちらのチームに傾くのか予断を許さない展開となった。

第1クォーターは、新潟の久井のフリースローで幕を開けた。序盤、クィーンビーズは片山菜々の3Pシュートでリズムを掴みかけたものの、ターンオーバーがかさみ流れを完全には取り戻せなかった。チームとして8本のターンオーバーを犯し、攻撃のテンポをつなげきれず。リバウンドでも新潟に押され、セカンドチャンスを与え続ける苦しい立ち上がりとなった。スコアは16-19でクィーンビーズが3点ビハインドで最初の10分を終えた。

第2クォーターに入ると、流れが変わる。三好青花の3Pで同点に追いつくと、坂田侑紀奈のスリー、ダフェ ハディのインサイドで一気に主導権を握る。中盤には最大9点のリードを奪う展開となり、チームとしてリバウンドへの意識も高まった。しかし、ホームでファン・ブースターの熱い声援を背にして戦う新潟も粘り、柳瀬や中道の連続得点で追い上げると、終盤には再び逆転。QBはディフェンスで踏ん張り切れず、32-35で前半を折り返した。

第3クォーター、ようやくクィーンビーズのバスケットが噛み合う。池田沙紀のスリーで同点に追いつくと、インサイドのダラーメ マレム ドイを軸にリズムを構築し、片山・池田のアウトサイドも連動する。チーム全体のFG成功率は52.6%、3P成功率は55.6%と精度が一気に上がり、アシストも9本を記録。マレムの連続得点や渡邊愛加・高田栞里の3Pも決まり、57-51とクィーンビーズが逆転して最終クォーターへ。

第4クォーターもクィーンビーズが主導権を握る。池田と井上桃子の連続得点で二桁リードを奪うと、新潟はファウルトラブルで苦しい展開に。QBはフリースローを確実に沈め、この10分はターンオーバーをわずか1本に抑えるなど、集中力を保った。追い上げを狙う新潟は金沢のスリーで一時6点差に詰め寄ったが、リングにアタックするクィーンビーズはファウルを誘いフリースローで加点。残り1分、井上のダメ押しの3Pが試合を決定づけた。
最終スコアは76-69でクィーンビーズが勝利。第3クォーターで掴んだリズムを最後まで保ち切り、苦戦の中で価値ある一勝を掴み取った。

見ている側には、どちらに転んでもおかしくない展開だった。だが、アリーナから引き上げてきたキャプテン井上桃子が語った

「全員で“絶対に決めさせない”という気持ちでボールマンにプレッシャーをかけ、苦しい時間帯でも顔を上げ、自分たちで点を取りにいく強い気持ちが出せた」

という言葉のとおり、ここ5試合で勝ち続ける中で培ってきた“ぶれない心”が、劣勢で折り返した前半ののちに迎えた第3クォーター以降で本領を発揮した。

序盤の苦戦の原因として、試合後の石川ヘッドコーチ、そして井上・池田の両選手は共通して「エンジンのかかりが遅かったことから派生したディフェンス強度の欠如」を挙げている。

ホームの声援を力に変えて立ち向かってくる新潟に対し、明日は40分間、本来のエネルギーを最初から出し切ることができるか。

チームがこだわる「試合内容」を表現できるか。

この先を見据える上でも、明日は重要な一戦となる。

ヘッドコーチ・選手の談話

石川幸子ヘッドコーチ

立ち上がりは体がまだ動いていなかったと思います。ディフェンスは消極的になってしまい、相手をリズムに乗せてしまったことは反省点です。最初からもっとプレッシャーをかけていく必要があると感じました。
ただ、接戦が続く中でも最後は池田選手がしっかりアタックしてくれましたし、井上選手のスリーもあって、終盤で勝ち切れたことは良かったと思います。
リバウンドではかなり苦戦しました。ボックスアウトが徹底できず、相手に高さがなくても取られる場面が多かった。ルーズボールへの反応も弱かったので、明日は球際のところをこだわりたいです。
それから、後半はファウルゲームのような展開になってしまいました。そこも明日に向けてしっかり修正して臨みたいと思います。

キャプテン井上桃子

まず、勝ち切れたことは良かったと思います。ただ、最初からディフェンスの強度が上がらず、オフェンスでも決め切れない時間が続いてしまい、終始接戦になってしまったのは反省点です。その中でも最後にしっかり勝ち切れたという点は、チームとして前向きに捉えたいです。
第4クォーターは、全員で“絶対に決めさせない”という気持ちでボールマンにプレッシャーをかけ、守り切れたことが大きかったと思います。
苦しい時間帯でも顔を上げ、自分たちで点を取りにいく強い気持ちが出せたことは良かったです。明日はまた今日とは違う雰囲気の試合になると思いますが、しっかり集中して、自分たちのバスケットを40分間やり切りたいと思います。
ディフェンスは明日も鍵になります。プレッシャーをかけ続け、自分たちのペースに持っていけるように準備していきたいです。

池田沙紀

試合を通して接戦が続く中で、やはり“守って決める”ということを徹底しないと、こういう展開になってしまうと感じました。点は取れていても、守れなければ意味がない。ディフェンスから入ることが自分たちの強みであり、良い流れを作るきっかけにもなるので、そこを明日はもっと意識していきたいです。

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