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耐える力”が導いた、価値ある連勝
- 2025年11月04日
- admin
小さな綻びを全員で塞ぎ、最後まで戦い抜いたチームの底力
山梨クィーンビーズ 62-55 三菱電機コアラーズ
(2025年11月3日/枇杷島スポーツセンター)
目標であるフューチャーリーグ優勝を実現するためには、三菱電機との2連戦で連勝を収めることが欠かせない。
その道が決して平坦ではないことを、チームの誰もが理解していた。
対戦相手・三菱電機コアラーズは、リーグ復帰から10年。クィーンビーズがこれまで一度も勝てなかった強豪である。
昨日の敗戦を受け、きょうは意地とプライドを懸けて、立ち上がりから全開でぶつかってくる。
そのことも、選手たちは十分に理解していた。
強豪への再挑戦。
その火蓋が、午後4時、枇杷島スポーツセンターで切られた。

試合の口火を切ったのはダラーメ・マレム・ドイ。高さとフィジカルを生かした押し込みで連続得点を奪うと、開始2分で6-0。ここで三菱電機が早くもタイムアウトを取る。
それでも勢いは止まらない。オフェンスリバウンドで粘り、セカンドチャンスを得るたびにベンチが総立ち。チーム一体のエネルギーがコートを支配した。
中盤、一時は三菱電機に追い上げを許すが、終盤「渡邊のファウルがかさんで早い段階で交代が必要になった場面で、三好がしっかり役割を果たしてくれた」と石川幸子ヘッドコーチが試合後にその働きを称えたように、三好青花がジャンパーを沈め、リードを広げて18-14で第1クォーターを終えた。

第2Qの立ち上がり、クィーンビーズは三菱電機の速攻に押されて18-16と詰められる。ここで石川ヘッドコーチがすかさずタイムアウト。修正は早かった。
ディフェンスリバウンドから再び流れをつかむと、マレムが力強くゴールに捩じ込み、ベンチも沸く。
両チームとも得点が伸び悩む展開の中でも、クィーンビーズは粘り強い守備とリバウンドで試合をコントロール。前半だけでリバウンド数は26対14、三菱電機のオフェンスリバウンドをわずか3本に封じた。
終盤には、マレムがインサイドから捌いたボールを井上桃子がスリーで沈め、36-26で前半終了。
前日の課題だったスリーポイントの守備も1/7(14.3%)に抑え、前半を折り返した。
後半、三菱電機は中村のスリーポイントで反撃を開始。だが、渡邊愛加が即座にスリーで応戦。
中盤にはファウルトラブルで苦しい時間帯もあったが、メンバーを入れ替えながら試合をつなぐ。
昨日の試合後、「今日の反省を明日に活かす」と語った池田沙紀が躍動。
フローター、スティールと攻守で存在感を示し、52-37と得点差を15点に開いて第3クォーターを終えた。

最終クォーター、会場の雰囲気が一変する。残り6分18秒、高橋のスリーポイントで52-47。三菱電機が怒涛の追い上げを見せ、ホームの声援が響き渡る。クィーンビーズの「耐える力」が試される時が来た。
渡邊のスリーで55-47とリードを広げたところから、2分間は両チーム無得点。ゴリーに2本のシュートを沈められ、55-51とこの日最小の点差に詰められるが、ここでも池田がフローター、そしてファウルで得たワンスローを沈めて58-51。
残り2分、マレムのインサイドで60-52。山本のスリーで60-55と三菱電機が迫るが、マレムがツースローを落ち着いて決めて62-55。
最後まで集中力を切らさず守り切り、そのまま試合終了。クィーンビーズが対三菱電機戦を連勝で終えた。

試合の流れが三菱電機に傾くと、ホームの声援が一段と大きく響き渡る。
しかし、数では劣っても、こちらの声も負けてはいなかった。
その声援が、選手たちの背中を押す。
熱気に包まれるフロアの中、クィーンビーズは冷静さを失わず、何度もハドルを組み直して意思を確認し合う。
そして、コートの5人だけでなく、ベンチからも絶え間なく声が飛ぶ。
渡邊のファウルトラブル、無得点が続いた第4クォーター序盤、
そして三菱電機の連続スリーで一気に詰め寄られた時間帯。
小さな綻びがいくつも顔を出した試合だった。
だが、その綻びを全員で塞ぎ合い、誰かが声を出し、誰かがリバウンドに飛び込む。
激しいディフェンスと揺るがぬメンタルで、最後まで耐えて戦い抜いたチームの底力。
そして、その姿を後押ししたファン・ブースターの声援。
クィーンビーズが積み上げてきた「全員で戦うバスケット」の象徴ともいえる一戦が、価値ある連勝をもたらした。
次節は11月8日、舞台を山梨市民総合体育館に移しての姫路戦。
ホームでの声援を力に、さらに成長したクィーンビーズの姿を見せたい。



















ヘッドコーチ・選手の談話
石川幸子ヘッドコーチ
昨日の試合を踏まえて、ディフェンスの強度を40分間通して落とさないことを意識して臨みました。三菱電機さんは昨日よりも修正してきていて、前半からすごくプレッシャーをかけてきましたが、選手たちはしっかり対応してくれたと思います。 後半に少し苦しい時間帯もありましたが、崩れずに我慢して、最後までアグレッシブに戦い切れたことが大きかったです。ディフェンスの部分では、チームとして“我慢する力”が確実についてきていると感じます。 そして今日は、三好がディフェンスで本当に頑張ってくれました。渡邊のファウルがかさんで早い段階で交代が必要になった場面でも、三好がしっかり役割を果たしてくれたのは大きかったです。ビッグマンに対してのディフェンスが良く、期待して送り出しましたが、その期待に応えてくれました。また、戦えるメンバーが一人増えたというのは、チームにとって本当に心強いことです。 この2連勝で少しずつチームの形が見えてきましたが、まだまだ課題もあります。明確な課題をもって次の試合に臨みたいです。
キャプテン井上桃子
相手がしっかりアジャストしてきて、思っていたプレーがなかなか出せない時間が多かったです。インサイドでファウルが重なったり、リズムを崩しかける場面もありましたが、チームで声を掛け合いながら“ディフェンスとリバウンドを頑張ろう”という意識を最後まで共有できたのが大きかったです。結果的に、そこが勝因だったと思います。 オフェンスでは、欲しい場面でボールが回らなかったり、ターンオーバーが出てしまったりもしましたが、その中でも池田が大事なシュートを決め切ってくれて、相手に流れを渡さずに済みました。 これまで勝てていなかった三菱電機さんに2連勝できたのは、チームの地力が確実についてきている証拠だと思います。相手のペースにのまれる時間もありましたが、自分たちのやるべきことをぶらさずに遂行できたのは、みんなの“勝ちたい”という気持ちが強かったからこそです。 アウェイでしたが、クィーンビーズの応援が本当に心強くて、むしろ会場を上回るほどの熱量を感じました。勝利でその声援に応えられたことが嬉しいです。この勝ちを積み重ねて、最終的にリーグ優勝につなげられるように。次のホーム戦では、またファンの皆さんと勝利を分かち合いたいです。
ダラーメ・マレム・ドイ
チーム全員が「優勝を目指して一つでも多く勝つ」という気持ちを共有して試合に臨みました。昨日に続いて2連勝しようと決めていたので、全員が最後まで頑張ってプレーできたことが嬉しいです。 試合中はどんな状況でも諦めず、5人でコートの中で声を掛け合いながら「次の1本」に集中できたことが良かったと思います。山梨のチームは本当に強く、最後まで粘り強く戦えるチームです。全員で決めたことをやろうという気持ちがすごく表れていました。 今日は池田のシュートがとても良くて、彼女の得点がチームを勢いづけてくれました。私自身も得点に絡む場面やディフェンスでチームに貢献できたことを嬉しく思います。 チーム全体でプレーできた試合でした。来週のホームゲームでも、今日のように全員で力を合わせて戦いたいです。応援よろしくお願いします。会場でお待ちしています。
池田沙紀
昨日の反省をしっかり共有して、今日はそれを全員で意識して臨みました。試合前に確認したことを40分間通して出せたこと、そして積極的に攻め続けられたことは良かったと思います。ただ、まだミスも多かったので、そこは次に向けて修正していきたいです。 今日は第4クォーターも本当にしびれる展開でしたが、ベンチもコートもすごくポジティブで、声が絶えなかった。ディフェンスで点を取られる場面もありましたが、しっかり全員で守り切る場面も多くて、「山梨らしい」プレーができたと思います。 シュートは日によって波があるけれど、ディフェンスは誰にでもできること。チーム力が問われる部分なので、そこを40分間やり続けられたのは大きな成長でした。反省点もありますが、次につながるディフェンスができたと思います。 来週のホーム戦に向けて、またしっかり準備したいです。苦しい時間帯にディフェンスで踏ん張れたことは、この2日間の大きな収穫でした。1日1日を大切に準備して、次の試合でも結果で応えたいです。
渡邊愛加
この2日間は、追い上げられてもみんなで焦らずに声を掛け合って落ち着いてプレーできたのが良かったです。立ち上がりがいつも課題でしたが、今回は自分たちのペースで入れたことが勝因のひとつだと思います。
ただ、一瞬の隙で相手に連続得点を許してしまう場面もあって、そこは課題です。相手がギアを上げてきたときに押し返せるよう、もっとアグレッシブにアタックできるようにしたいです。チームとしてボールがよく動いているときはいい流れになりますが、何処かで止まってしまうと一気にリズムが悪くなるので、40分間通して全員で動き続ける意識を持ちたいと思います。
リバウンドやルーズボールの部分では、まだ大事な場面で相手に取られることもあったので、そこはもう一段ギアを上げてやっていきたいです。
次の姫路戦は、三菱電機とはタイプの違う1対1が多いチーム。相手のスタイルに合わせるのではなく、自分たちのバスケットをしっかり貫くことが大事です。ホームで2連勝できるよう、全員で戦います。
